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クソラノベの世界に転生した俺は原作を破壊する事にした  作者: 雪本 弥生
第2章 むしろ俺にだけ厳しいヒロインのお話
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第9話 決闘の末に 前 ーヒロインの氷を溶かすにはー

評価・ブクマ・応援、是非是非よろしくお願いします!


作者が喜びます!(/・ω・)/


俺が原作『僕最強』の物語のレビューを眺めていると、よくシャルロッテさんのキャラ崩壊にキレている人を見かけた。


かくいう俺自身も、当初はキレていた一人だったのだが、この世界にきて実際のシャルロッテさんを見た時、どこかその雰囲気に違和感を感じさせた。

何かに怯え、何かから身を守ろうと、仮面を付けている人と喋っているようなそんな感覚だった。

そしてその時同時に思った。


もしかしてシャルロッテさんの本当になりたかった自分っていうのは、もしかしたらキャラ崩壊前の凛とした完璧美少女なんかじゃなくて……





「……ったああぁあ!」

「早く起きなさい。こちらだって暇じゃないの」


鼻の頭の痛覚が光の速さで脳を駆け巡ると同時に、目を開いて状況を確認する。

目に映るのは未だ左手で俺の鼻の頭を捻るシャルロッテさんと、ここは保健室か?

いや、それより、


「痛い痛い痛い!起きたんだから、早く鼻から手をはなして、シャルロッテさん!…はなだけに…」

「…随分余裕そうね。あと30秒はこうしていましょうか」

「嘘嘘嘘!マジ早くっ!」

「…はあ、仕方ないわ、離しましょう」


パッとシャルロッテさんが俺の鼻から手を離したのを確認して、自分の鼻がまだ顔に付いているかだけ急いで確認する。

全く、気絶した人の鼻の頭を捻って、叩き起こす奴があるか!

その原因は確実に俺なんだけどさ…。


急いで起き上がってキョロキョロと辺りを見渡す。

外は夕日も落ちてきて、ちょうど逢魔が時と言った感じだ。

…うん、情景描写からして今からの俺の行く末が心配になってきたが、俺の寝ていたベッドの傍のスツールに座るシャルロッテさんの方へ振り向く。


シャルロッテさんは視線に気付いたのか、急いで胸を隠すように腕を交差させる。


「やめて!あ、あれは事故だったんだ!」

「どこがよ!『許してください』って確信犯のセリフ以外の何よ!」


やっぱり事故で押し通すのは無理だった。

こうなる未来は見えてたはずなのに、なんで俺はあの方法しか思いつかなかったんだよ。

俺のばか――!


「…そ、その件に関しては、本当に申し訳ありませんでした。ちょっとハイになってた所があると言いますか、ジャック君に負けない為にはこれしかないと思ったと言いますか…」

「なぜ思いついた一番目が私の胸をタッチする、なのよ…」

「……それは、本当に謝ります、ごめんなさい…」


ぶっちゃけると、原作『僕最強』にて、初期のアレクとシャルロッテさんはラッキースケベ的な展開になると毎回あんな感じでアレクを吹っ飛ばすというお決まりがあった。


アレクとシャルロッテさんの並びを見て自然と思い出されたのが、そのお決まりの流れだったのだ。


原作にてアレクがシャルロッテさんのたわわな谷間に顔を埋めていたりがっつり揉みしだいていたのに比べると、極めて短い時間でタッチしただけの俺の方が紳士ポイントは高いはずだが、故意でやった分だけタチの悪さは圧倒的にこっちが悪い…。


「……まあいいわ、私もびっくりした事とは言え、あんなビビりみたいな触り方に対してやり過ぎたと思ってるから…」


やりすぎたというのは、あのシャルロッテさんのフルパワー火の玉の事だろう。

確かに戦いで少なからず疲労していた俺があのでたらめの魔法を食らったのだ。

気絶くらいですんでむしろラッキーだったというべきなのかもしれない。


「…でも、それだって俺があんなことしなけりゃ…」

「別にうじうじ責め立てるほど私だって小さい女じゃないわ。今ここにいるのは、別件よ」

「別件?」

「そう、あなたジャックに、勝っても負けても私の事を守ってあげて、って言ったらしいわね」


「……あぁ、その事、ジャック君から聞いたんだ」


首を曲げて天井を見上げる。

ジャック君め、なんで言うかなぁ。


「もちろん丁寧に、右腕を後ろに引っ張りながら聞き出したわ」

「…ジャック君、一瞬疑っちゃってごめん。もっと疑うべき人がここにいたよ」

「あなた一体どういうつもりなの?一体何がしたかったのよ」


シャルロッテさんの目はこちらを射抜くように、まっすぐ、俺の目を見る。


「…はぐらかしたら?」

「ジャックの二の舞になるだけよ」

「了解了解、そんな隠すようなことでもないから全部話すよ」


すぐに答えたシャルロッテさんの目、あれマジの目だった。

一体ジャック君はどんな目にあったんだ?


ふうっと息だけ吐いて心を落ち着かせる。

大丈夫、この気持ちに何もやましい事なんてないのだから。

そして俺はシャルロッテさんの緋色の瞳を見て言つめた。


「…何?」

「俺、実はシャルロッテさんの事結構好きなんだよね」


春の風に揺られて、保健室の窓がカタカタと音を鳴らす。


今更ながら気付いた事だけど、保健室の先生、どこだよ。



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