第93話 幼女の生首
前みたいに各章基本6話くらいにまとめたかったけど、書きたい事多すぎて中々うまくいかないね。
ここからの章は大体各章10話くらいを目安に書いていくと思いますので、よろしくお願いします!(-ω-)/
「ここが…」
「ここにきっと入り口があるわ、探しましょう」
シャルロッテはフローラの案内に従い13番目の路地に辿り着くと、路地裏の中まで入っていき周囲の壁に目を向けていく。
あるのはレンガつくりの建物の、無機質な壁とそこに貼られた古ぼけたポスターの数々。
不思議とこの路地には人の気配が全くないばかりか誰も入って来る様子はない。
シャルロッテはペタペタと壁に触れて確かめていく。
「どこかに…ん?」
しかし隈なく探していくまでもなく、最初に触れた壁にどこか違和感を感じシャルロッテは自らの魔力を壁に向かって流していく。
すると触れた場所ではないある一点に向かって魔力が流れていく事が分かる。
その流れを辿り向かってみると、そこには何かのお店の宣伝ポスターだろう、所どころ破れ古くなった紙が一枚貼り付けられた場所に辿り着く。
ポスターをゆっくり剥がしてその場に置くと、シャルロッテは恐る恐る手を伸ばしていく。
「……多分ここに…あれ?」
「ん?どうしたの?」
報告を受け振り向いたフローラは、壁に手を伸ばしたまま首を傾げるシャルロッテを見てすぐに駆け寄る。
「ここ、確かに何かがあるんですけど、どうしても何かに阻まれているようで…」
「そう、ちょっとどいて」
何度も魔力を壁に向かって流すシャルロッテを傍にどけ、改めて壁に向かって手を伸ばすフローラは何かに気付きニヤリと笑みを浮かべる。
「……なるほど」
「何が分かったんですか?」
「ここに入り口があるのは間違いない。だけど悪い魔女に入り口を防がれてしまってるわね。これは…少し面白くなってきたわ」
すると次の瞬間、とんでもない莫大な魔力を壁に向かって放つフローラ。
吹き飛んでいく周りのポスターたちと一緒に、思わずよろめくシャルロッテは鞄だけをぎゅっと抱え、何とかその場にとどまる。
しかしフローラの足元を見るとその地面は魔力の影響なのか凍らされており、氷の範囲は徐々に広がってきている。
この場を離れた方がよいかと逡巡するシャルロッテに、フローラは大きな声で呼びかける。
「私が合図をしたらこの壁に思い切り手を伸ばしなさい、シャルロッテさん」
「え?なんで私の名前…」
「3、2…」
シャルロッテは突然始まったカウントダウンに、ひとまず疑問を胸の中に仕舞い込み、魔力の風圧に対し腕で顔を覆いながら一歩前に足を出す。
「…1!」
「はい!」
ろくに目なんか開けていられない程の魔力の圧の中、シャルロッテは思い切り手を伸ばし、壁に指が触れる。
そして次の瞬間には、シャルロッテの姿はその路地裏から消えていた。
*****
「……ん?血の気の多い娘じゃの。あの男に似て」
「は?何かあったんですか?」
俺は突然笑みを消して天を見上げる婆さんに疑問を投げかけるが、すぐにその異変はやって来た。
突如として俺の背後の真っ暗な背景が氷漬けにされていく。
「な、なにこれ!」
「どうやら時間のようじゃ。最後にこれをお主にやろう」
「え?わ、ちょ!」
婆さんは戸惑う俺に対し、再程の光魔法を放つビー玉の入った巾着袋を投げつけると、一歩ずつ後ろずさっていく。
「どのように使うかはお主に任せる。ただし肌身離さず身に着けておくことじゃ」
「そんな、使うって言っても使い方だって分かんないし、俺…」
「それではまた、健闘を祈る」
次の瞬間、婆さんが目の前からふっと姿を消すと同時に、氷漬けにされたこの空間はパシィッ!と音を立てて崩壊していく。
巾着袋を握る俺は思わず目を閉じて落ち着くまでその場に立ち止まる。
しかしすぐに聞こえてきたのは、よく知る女子の声だった。
「……あ、生きてたのね、シエル・デストロイヤー」
「だからデストロイヤーついてないんだって、俺!学長先生からの手紙見て引っ張られ過ぎなんだよ!」
*****
再会の第一声から飛ばしてくるシャルにとりあえず突っ込んでみたけれど、周囲の光景を見て俺も思わず眉を顰めてしまう。
先程まで婆さんと会話をしていた場所は周囲が真っ暗で、とにかく暗い場所だったはずだ。
しかし目の前に広がるのは、小さく波打つ海、そしてビーチ。
「なんだここ、南国の無人島みたいだ」
「……魔法空間の中ってこうなってるのね」
俺はシャルの方へ歩み寄ってお金の入った鞄を受け取ると、シャルは俺の手の甲をギューッとつねってくる。
「いててて!!」
「なにしれ-っと何も言わず鞄だって取ってくのよ!とにかく説明しなさい、一体何があってあなた一人だけこんな所にいるのか。誰の仕業で、どんな魔法でここに居たのか」
「待て待て、俺はここがどこなのかすら分かってないんだ。魔法空間、って言ってたけど、ここが本当にそうなのか?」
「そりゃ、あなた……」
呆れたように腰に手を当てるシャルであったが、その時シャルの言葉を遮るようにしてそいつは現れた。
「こんにちは、お客さん!『ダリアのどきどきなんでも作っちゃう屋さん』まで案内してあげる!」
その声はまさしく小さな女の子の声であり、声の主は俺達がずっと探していた店の在りかを知っているらしい。
しかし不思議な事が一点。
「…あ、ありがとう。ところで君はどこにいるのかな?」
「ん?ここだよ!」
すると突然俺とシャルの目の前に現れたのは、6歳くらいの明るい笑顔で褐色の女の子……の生首だった。
「「ぎやぁぁぁあああああ!!!」」
「あはははは!」
こうして俺達は紆余曲折ありながらも生首に案内されて、無事学長先生からのお使いの目的地である『ダリアのどきどきなんでも作っちゃう屋さん』に辿り着いたのであった。




