プロローグ 原作破壊してしまいました
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「…さて、ここが例の場所か」
俺は夜の闇に紛れ、たった一人、禍々しいオーラを放つ如何にも怪しげな洞窟の前に立っていた。
大きな暗い洞穴の傍にはボロボロになった木の看板が立てられ、はげかけたインクで『始まりの洞窟』と書かれている。
「…ったく、なんでこんな所であいつらは訓練しようなんて思ったのか…」
俺は早速その看板の方へ向かうと、板の角を掴んで、思い切り引っこ抜く。
ギシギシと危ない音をたてる中、お構いなしに看板の裏を正面に向けて再び地面へ差し込む。
かくして一仕事を終えた俺は、洞窟に背を向けて歩き出す。
「…ま、ひとまずこれであいつらも寄り付こうとは思わないだろう」
俺が振り返ると、今度はでかでかと『終わりの洞窟 入るな危険!!』の文字が書かれた看板が洞窟の前で出迎えていた。
俺は溜め息をつき、青く輝く月を見上げた。
(これで、いよいよ後戻りはできないわけだ…)
俺は今、未来を変えたのだ。
あんなチープな仕掛けでも、遠くない未来、のちに勇者と呼ばれる青年がその力に目覚める覚醒イベントに必要なピースの一つであった。
僕はそんなありきたりな英雄譚を一つ、この手で潰したのだ。
「いざ原作破壊してみると、意外にあっけないな」
俺はそれだけ呟くと、月から目を離し、前へ歩みを進める。
歩きながら掌を握り、そして開く。
そう、俺はこの世界の人間ではない。
いや、語弊のないように言えば、俺はこの世界の人物に憑依して転生してきた人間と言った方がよいだろう。
そしてこの世界は、前世で俺が読んでいたラノベ、『パーティーに追放された僕は、最強の能力に目覚め、レベル9999で世界を無双する。するとツンデレ美少女に懐かれ、人生逆転しました。今更パーティーに戻れと言われてももう遅い』の世界だ。
タイトルだけで全て完結してもいいような、レビュー評価1.2の世に言うクソラノベと呼ばれる部類の一冊だ。
なぜ俺がこの世界に転生し、原作破壊をしようと思い立ったのか、それを語るには、時計の針を少しだけ巻き戻す必要があるだろう。
そう、俺がこの世界に転生しあの学園に入学する事となった、4か月前のあの日へ。