57話 お肉とお酒
「しゅ、しゅごい…。ホントにアタシの大好きなサーロインステーキだ…。美味すぎる…。肉汁すごい…。じゅーしー…。はあ…。」
ウットリしちゃうね。
こいつは参りました。
これはもう代用肉なんてレベルじゃねー!
本物の牛肉をはるかに超えたよ!
まさか植物だけで肉の味を再現するどころか超えてくるとは…。
やっぱおばあちゃんは凄いよ!
かー、かなわねえなあコンチクショウ!
「塩コショウだけなのになんて美味しさ!エクセレント!ビューティフォー!パチパチ…!うーん…!こっちのヒレ風もうめー!サーロイン風と全然違う!はー…しあわせ…」
あー、最高最高ー。
ほんとおばあちゃんと料理さんのおかげでごさいます。
ぺこぺこ。
みんなも堪能してるねー。
特に姐御が。
意外だ…。
「そういやあ赤ワイン大好きだもんねー姐御は。ステーキに合うらしいもんなあ赤ワインは。え?ああ…はい、飲みます、飲みます。ちょっとお待ちを。ひー、テンションが上がっていつもの姐御じゃねえ…。」
大好物は人を変えるねえ。
それじゃ姐御の好きな赤1号ちゃんをぐびー。
う、う、うまいぞー!スゲー合うじゃん!なんだこりゃ!
はー、こりゃあ牛肉と赤ワインが鉄板なわけだよ。
こんなに美味しかったとは…。
いやーまいった、まいった。
どうよ姐御。
…酒と肉に夢中で返事もしねえよこの人。
違うんです!普段はしっかりした人なんです!
「酒が悪いんや…。ん、なあにおばあちゃん?おー!焼き鳥かあ!いいね!焼こう、焼こう!」
ひっひっひ、アタシは分かってるよ。
おばあちゃん米酒大好きだもんねえ。
焼き鳥と米酒は合いますからなあ。
いーひっひっひ!
「照れない、照れない!おばあちゃんの為なら何でもしますよアタシは!それじゃタレと肉串を作りますか!」
おばあちゃんはタレと塩どっち派?
おー、タレかあ。
アタシは塩!
でもおばあちゃんと料理さんの力ならアタシ、タレ派に鞍替えする気がする。
塩じゃ敵わないタレが出来る気しかしないよ。
よし!やるぞー!
やったぞー。
「こ、このタレねぎまは…。う、うう、もう泣いちゃうよ…。美味すぎる…。じゃあここで純米酒3号ちゃんをぐびりっと。かー!いかん!これはダメになるやつだ!」
さすがおばあちゃんの大好物。
力の入れ方が違うよ。
まさに神業。
アタシじゃあこの領域は無理だね。
いやー美味い!
おばあちゃんも大満足でなによりだよ。
このタレつくねも最高!ぐびー。
皮はやっぱ塩だね!ごくー。
かー!たまらん!
!?こ、このタレぼんじり!ぷりぷり、ジューシー!
あ、あかん!これはハイボールだ!
はやく、はやく!
「ごくごくごく…!ぷはあー!脳汁出まくるー!しあわせー!…はあ、やっぱアタシはウイスキーだなあ。おお!お母さんも気に入ったの?」
お母さんはハイボーラーだったか。
アタシはどっちかっつーとストレート派なんだけど。
うーむ、これからはウイスキー飲むときは半分はハイボールになるなあ。
まあお母さんの為だ、しゃーないかあ。
「お姉ちゃんと妹ちゃんは何が好きなの?ほー、お姉ちゃんはビールかあ。イメージぴったりじゃん。いや別にバカにしてないって。もー、怒りん坊だなあ。妹ちゃんは?へー、シードルね。リンゴ酒かあ。カワイイー!よし今日つくろう!」
最優先でシードルだ!妹ちゃんの為にやるぞー!
「はいはい、ビールもちゃんとつくりますよ。ジョークだって!怒らない、怒んない。お姉ちゃんの為にちゃんとやりますよ。3種類くらいでいい?」
10種類にしろとの指示です。
暴君め!
それじゃあシードルも10種類にしようか。
あ、ウイスキーもつくろう!
こりゃあ今夜は忙しくなるぜ!
こうして楽しく夜は過ぎていったよ。
ええ、明日のことを考えたくなかったんです。
なにか?




