40話 真っ向勝負
「朝ごはん食べ終わってしまった‥。いよいよ始まるのかあ。こええー‥」
水魔法さんと隠密さんなしで蜂と戦うのがこんなに怖いなんて‥。
アタシは優秀トリオにほんとに助けられていたんだなあ。
感謝しかないよ。ありがとう。ありがとう。
「‥よし、気合い入れなきゃね。油断したら本気でヤバい。集中、集中‥」
さあやりますか!まずは蜂を訓練場におびき寄せないとね。
やり方は簡単。
蜂が近くに来たら入口を開けて大好物の幻の桃をつかって誘い込むのだ。
あいつら頭はそんなよくないからこれで上手くいくみたい。
「お、きた。よし、部屋に桃を置いて入口を開けてっと‥うおお!凄い勢いで入ってきた!はやく閉めなきゃ!ほんとに簡単だったな‥。しかし警戒心ゼロかよコイツ」
バカすぎるでしょ。
桃に夢中で閉じ込められてるのに気づいてないし。
だいたいそれ大魔王に持って帰らなくていいの?
絶対出世しないよコイツ。
「ふー‥。それじゃあ始めますか。隠密さんを解除すればいいの?ふむふむ、へー、解除しなくても目の前に立ったり、触ったりすればいいのね。じゃあ後ろからチョンチョンっとね」
ビックゥ!っとして飛び上がったよ。
ビビりすぎでしょ。ププー。といつもならコケにして笑ってたけど、笑えないや。
本当に怖い。
思えば初めてコイツに見られてる。
体が恐怖でガチガチ震えてる。
魂まで恐怖で震えてる気がする。
これがランク5の魔物。しかも魔銀級。魔銀蜂。
「‥」
警戒してるのか見下しているのか分からないけど、まだ襲ってこないな。
復習しておこう。
大きさは2メートルくらい。
特に注意すべきは口の牙と尻尾の針。
顎の力はとんでもなく強く、牙は魔力の通ったミスリルくらい硬く鋭い。
アダマンタイトすら食いちぎるらしい。
尻尾の針は牙と同様の強度。
刺しての攻撃はもちろん、猛毒を注入したり、さらに飛ばして攻撃もでき、その飛ばした針を大爆発させる事もできる。
再生能力は特に高く針がなくなることは期待できない。
足と羽も注意が必要。
6本の足はツルツルした壁や天井に止まれるほどの吸着力。
力も強く重さ10トン以上の獲物も簡単に持ち運べる。
名刀のような切れ味も持っており、鎧も切り裂く。
柔と剛そろった万能武器だ。
羽は高速で移動するだけじゃなく急停止もできる。
さらに一瞬で上昇下降もでき、まさに自由自在に飛び回る。
羽は薄いが頑丈で切れ味があり、これで攻撃も出来る。
足と同等とみていい。
さらに牙、針、足、羽には能力の技もある。
力だけの獣じゃない。
魔法も凄い。
攻撃、防御、強化、回復、補助、妨害を全属性使いこなす。
レベルも全部が高レベル。
特級冒険者の大魔法使い以上の万能大魔法使いでもある。
物理攻撃が飛び抜けていて、魔法も高レベルで万能。さらに超高速戦闘が可能。
じゃあ防御面が弱点かと思われるがそうでもない。
むしろ硬くて恐ろしくしぶとい。
体力がとんでもなく高いうえに体力回復能力まで持っている。
耐性も高く、やや弱点の火属性以外は高い耐性を誇る。
大弱点の攻撃でなければ一撃で倒すのは不可能だろう。
状態異常無効を持っており搦め手も通用しない。
高レベルの再生能力を持っており長期戦は不利。
魔王や魔神に匹敵すると言われるのも納得の化け物。
ランク5 魔銀級 魔銀蜂
初めて真っ向勝負する。




