1話 大きな蜂さん
「ひぃ~、こ、こええ‥。なんなんだよあの化け物‥!」
ビクビクしながら隠れているアタシの目の前には巨大な蜂。
ランク5『魔銀蜂』と呼ばれる勇者や特級冒険者でも恐れるアタシじゃどうにもならない魔物だ。
「か、鑑定さん‥!」
このダンジョンに閉じ込められてから手に入れた2つの能力の1つ『鑑定 レベル100』を発動する。
アタシでも何か打つ手が‥。
魔銀蜂
体力 9387
精神力 9036
魔力 9143
力 148
防御 109
魔攻 143
魔防 103
素早さ 150
「ぎゃー!強すぎる!化け物じゃん!アタシと身体能力が二桁違うんだけど!勝てるわけねぇだろ!打つ手なんてなかった!」
心の中でわめき散らしながら絶望するアタシ。
クソが!なんなのこの悪魔!
せっかくこんな凄い能力手に入れたってのに!あんな悪魔どうすりゃいいんだよ!
うー、ぎゃー、きー、‥うん?あ、あれ?
大弱点 水攻撃魔法レベル70以上
だ、大弱点!?
水ならイケるのか!?
下っ端冒険者のアタシでもあの悪魔に勝てるのか!?いや、ちょっとまて‥。
「レベル70以上‥。」
水攻撃魔法レベル70。
100年に1人の大魔法使いと呼ばれるくらいの超天才が1つの属性を一生かけて極めて届くかどうかというレベル。
アタシみたいな凡人じゃ一生かけてもレベル10になれるかどうか。
もはやこれまで。
神などいない。
てめぇら絶対ゆるさねぇからな!
と、もう1つの能力がなければ人生に絶望していただろう。
いまのアタシは違うんだよ!
「イケる!ギリギリ足りる!『能力入手』さん!水魔法に全振り!」
アタシの能力一覧に新たに水魔法レベル70が輝く!
同時に頭の中、体の中に水魔法レベル70が入ってくる。
できること、できないことを懇切丁寧に教えくれる。
この子凄え優秀だ‥。つ、つおい‥。
アタシに使いこなせるのこの子?
「これを使えばいいの?よっしゃ!レベル70水光線!いけぇ!くたばれ!クソ蜂が!」
アタシの指から放たれた水の攻撃魔法。
なんかオシッコみたいだなあ。細いし。
凄い勢いだけどコレほんとに効くの?
水魔法さんの指示通りにやったけど、コレ反撃されたらアタシおしまいなんじゃ‥。
「え‥。」
アタシの心配をよそにオシッコが蜂を貫通しよった。
ま、まじかよ‥!
驚いて指を動かしたら蜂がバラバラになっちった‥。
「ひぃ~、こ、こええ~‥。」
とんでもないオシッコを手に入れてしまった。
超オシッコと呼ぼう。