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金の月、赤い月

薄口でいきます。

 わたしは真絢さんの傍らに膝を着いてしゃがみ込んで頭と身体を支えるように抱き起こす。


「真絢さん……」


「……嫌な役目を押し付けて……しまったわね。助け出すと言いっておきながら……ごめんなさい」


 生きることを諦めた笑みだ。


「貴女、独りには――」


「真絢さんと二人で封じの柱に成るのはそれはそれで魅力的だけど、わたし約束があるから柱になんかならない。だから、さ、真絢さんの鬼斬りの血、ちょーだい」


 真絢さんを後ろから抱いて頭を傾かせて首筋に息を吹きかける。


「真絢さんが血を飲ませてくれたら、わたしにかけられた鬼斬りの力を封じも解けて、二人とも助かるんだけど、どうかな?」


 甘く耳許で囁く。


 結花媛命の愛撫によって幸か不幸か贄の血の匂いが高まっている。それは鬼を斬る異能者にも効く。


 ハム、と真絢さんの耳を甘噛みする。


「私の血を飲めば……助かるのですね? わかったわ……我々の失敗を貴女一人に、押し付けるわけにはいかない……」


「それじゃあ、わたしだけだから、真絢さんも一緒に堕ちよ?」

 

 わたしは真絢さんの刀の刃を腕に軽く当て引く。朱の線となって溢れる。それを口に含む。


「は?――ふむぅ!!」


 真絢さんが疑問の問いかけをしようとした瞬間を狙って口移しで飲ませる。目を白黒とさせる真絢さんに呑めと睨む。


 チラリと結花媛命を見れば目を丸くして驚いている。


 生前の結花媛命は贄の血を利用して鬼を使役しようとか屈伏させて下僕にしようなどと考えなかったに違いない。

 

 また血を口移しで呑ませる。


「頂きます」


 真絢さんの首筋に噛み付いて皮膚を破る。溢れた鬼斬りの血を呑む。


「あ……アアアッ!!」


 真絢さんの鬼斬りという異能の血が贄の血に反応した。


 “鬼”斬りの血が贄の血を喰らう。


 真絢さんの傷が癒えた。


 真絢さんの鬼斬りの血がわたしの封じられた鬼斬りの血を呼び覚ます。


 ――この万能感……力を開放するってやっぱり気持ち良い。


 ね? と同意を求める様に真絢さんを見ると開放感に恍惚となっている。


 ――鬼に血を飲まれるって性行時の絶頂よりも快感だって言われてるしね……。


 それに病みつきになる女性や男性もいる。


「アハハハハッ!! なぁにそれ!! そんな解決法があるんだ。鬼を滅して脅すだけだと思ってたんだけど……へぇ、鬼斬りを使役の鬼にすることも出来たんだね。じゃあ貴女の鬼と私の鬼のどちらが強いか、試そうか」


「真絢さん来るよ!!」


あっさりです。ええ、あっさりですとも。

じっくりしっかり描写を書くと違反になりますから。 



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