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結花媛命1.5

 美しい鬼神が姿を見せ、贄の少女の許に降り立つ。


 贄の血を宿す少女――双樹は作戦の為に鬼斬りの血と技、武器召喚の法陣を封じられているために、身体能力が高いだけの少女となっている。


 双樹を背後から抱き、その身体を愛撫し愛でている。なんて羨ましい。


 美しい鬼が酒に手を伸ばし口に含み飲み干す。また手を伸ばすと、今度は自身が呑まずに双樹へと口移しで飲ませる。


 長い長い長い私でも間接的なものさえまだなのに!!


 双樹の顔が遠目にも甘く溶けて、頬に朱が差しているのがわかった。


 鬼を籠絡させるのに何か施された?


 それが可能なのは禊の時しかない。


 なんてことを!!


 美しい鬼は酒を飲み、料理や果物を食らう。双樹にも分け与える。口移しで!! 絶対許すまじ!!


 身を乗り出した馬鹿二人が見付かった。そして操られた二人の同士討ちが始まった。


 陰陽庁の陰陽師と、私たちとは別の組織の鬼斬り隊士だった。

 だが、鬼は眠ってもいなければ、酔ってすらいない。


 仲間が凄惨な同士討ちをしているのを黙って見ているしかない。


 二人が血の海に沈んだ。


『何をやっているんだ。疾く鬼を籠絡しろ』


『裏切り者の娘だろうが、どうせ穢れた生まれだ。さっさと身体を使ったらどうだ』


 仲間を玩具にされた怒りが双樹に向く。


 あとで啼かす。彼らが双樹に望んだやり方で、だ。


 新世界への扉を用意してあげるわ。新世界を存分に楽しませてあげる。待ってなさい。


 私たちは双樹に対する暴言と(主に私が)鬼の言動に、あちらは何時までも潜伏することに我慢の限界を迎えた。


 バレているなら騙し討ちもの破綻した。ならば、と、突撃の命令が下った。


 だが――


「くっ数が多い!」


 異妖をまた一匹斬り伏せる。


 私たちが想定していた以上に縁切りを願われ、生み落とされた異妖の数が多かった。


 ――早く、速く、疾く彼女の封じを解いてあげなければ!!


 私たちは同じ場所を走らされている。目の前に双樹と鬼は見えているというのに。


 無限廊――神隠し。起点と終点を結ぶ印を見付けないと抜け出せない。


 異妖と戦いながら見付け出さなければならず、苦戦を強いられている。


 鬼が見せ付けてくる。


 双樹が甘い喘ぎを漏らした様に見えた。


 早く、速く、疾く、鬼斬りの血を解き放たなければ。



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