異妖“縁切り”
わたしたちは軽食を摂ることに決めてテラス席へと場所を移した。
何気にオシャレだ。
何せ、この対策機構の施設が住処という人もいれば、何日も詰めなければならない時もある。そのために食堂にカフェ、お風呂にランドリー、雑貨に服まで売っている。
服。わたしたちの戦闘服を造っている部所が普段着も売っているし、サブカル系の服も売っている。
たいてい此処で買っている。だって働いてる人は割引きがされるから。
閑話休題。
「チハルんが追ってる異妖って“縁切り”」
「沙羅、貴女も追ってるの?」
「兎にも角にも数が多いから切り無くって、わたしみたいなバイトの手も借りたいみたいよ」
最近、多発している“縁切り”という異妖。縁結びと表裏一体の事柄から生まれた鬼。
わたしが氷鏡と妻夫木にしたことを、より危険にしたものだ。
わたしがしたことは氷鏡と詩音と紗奈、妻夫木とちーちゃんの縁を結ぼうとしていたモノを祓い、無理矢理結ばれそうになっていた糸を絶ち斬り、氷鏡と妻夫木の糸を固く結んだ。
件の異妖“縁切り”はというと、人を襲い、その命を絶つことで縁切りをしている。縁結びも同様だ。この異妖に願掛けされているのは“奪う”だからだ。
わたしが追った異妖“縁切り”は嫁姑問題から生まれた鬼だった。




