DAYS2ー初体験ー
翔真と一誠の初デート&初体験。
「一誠、俺、初めてなんだ……。だから……その、優しく教えてくれよな」
初体験に緊張しながらもはにかむ。
「お、オレだってこんな事、初めてだぜ? ましてや男同士でこんなトコ来るなんて思っても無かったぜ。その、初めては千尋と来るって決めてたんだ」
「俺だって詩音と紗奈と一緒だと思ってたさ」
「それが男同士で、それも幼馴染みでダチと一緒に来ることになるなんて思ってもみなかったぜ」
「む? 一誠! 俺たちタダの幼馴染みでもダチでも無いだろう!!」
少し拗ねた表情で一誠を見ながら、恋人繋ぎをした手にキュッと力が込める。
「わりぃ。そうだよな。オレたち付き合ってんだもんな」
「そうだよ。俺たちは恋人同士なんだ。忘れるなよな」
俺たちは仲良くゲートを潜る。
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事の始りは期末テストが終わった頃だ。
俺のことを何時でも一番に想っていてくれた一誠への本当の気持ちに気付かされ、恋人になれたことで、
長い間、執着していた詩音と紗奈―― 二人への想いも不思議と消えていった。
二人への執着が消えた途端、心が軽くなって視野が広くなった気がした。
詩音――雪城さんからずっと言われていたように、呼び方を改めた。紗奈は、「もう慣れてるし。良いよそのままで」と半分呆れ顔で言ってくれた。
それを俺と同じように千尋―― 南條さんに執着していた一誠話すと同じような感じだと言った。
前の――真実の愛と絆に気付く前の俺たちなら、名前呼びを許してくれない雪城さんと南條さんに言い掛かりをつけて執拗に迫っていただろう。
俺たちは彼女たちに凄く迷惑をかけていたと、自分たちの彼女たちへの言動を振り返り、物凄く反省して深く頭を下げて謝罪した。
謝罪したところで過去には戻れない。謝罪で水に流せるような軽い罪なら世の中、鬼はいない、と言われた。それ程までに俺たちは彼女たちを傷付けてしまったのだ。
ただ、これからの俺たちの言動が大事だ、と言った。
だから、俺たちはこれからは言動に気を付けて、相手を思い遣れるようにと誓った。
俺たちを結び付けてくれた藤咲さんが見届けて、証人にかって出てくれた。そして此処のチケットをくれたのだ。
彼女には足を向けて眠れないな。俺と一誠を結んでくれたんだから。
俺は今日を楽しみにしていた。初めての場所、経験を一誠と体験出来るんだから。
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初体験を終えた俺はクタクタだった。余りにも激しくて、叫声を上げてしまった。しかしそれが快感でストレスが発散出来た。
世の中のカップルが来たがる理由がわかった。こんな経験をしたら、また体験したくなる。
「大丈夫か翔真」
「あ、ああ。初めてだったからな。驚いた。あんなに早くて激しいものなんだな……」
「これでも序の口らしいぜ?」
「アレで……?」
更に早く、激しいものがあるなんて驚愕する。
「いや、もっとゆっくり楽しめるものもあるんだぜ? けど、それは最後にって思ってたんだ。思い出作りの定番みたいだしな」
「そ、そうなのか……。わかった! もう。大丈夫だ。時間も有限だからな。次に行こう!!」
「ああ!! そうだな!! 二人ならどんなに激しくても楽しめるって!!」
このあと二人でメチャクチャ激しく燃え上がって楽しんだ。
「綺麗だな……」
「ああ……」
「今日は初めてのことだらけで戸惑ったりも驚いたりもしたけど、本当に気持ちよかった」
「オレもこんな開放感は初めてだぜ。翔真、また二人で来ような」
「勿論、俺も同じ気持ちだよ」
俺たちは夕焼けを背景に見つめ合う。そして二人は――
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俺は一人、暗い部屋でベッドに寝転び、天井を見上げて、今日のデートを思い出す。
オルタナティブ・ユニバースという様々なジャンルのゲームの世界を体験出来るテーマパーク。
パルクールを取り入れたアクションゲーム。その脱出時のハラハラ・ドキドキを体験出来るアトラクション。
艦隊戦を体験したり。戦闘機でのドッグファイト。ホラーゲーム。冒険者にもなった。
街も店も商品もゲームの世界を再現していた。
家からも成績からも開放された。
テーマパークであの開放感なら異世界転移で、完全に今の軛から開放されたらどんなに気持ち良いんだろうか。
誰も俺を知らない異世界で一誠と二人で生きていけたら……。
夕焼けを背景にキスをしたことが蘇り、唇をなぞる。
買ってきたポーションを飲んで喉を潤す。
飲み終わった瓶をダッシュボードに放置する。
眠みぃ……。
直ぐに寝てしまった。




