クナ
その昔
日本からは
遠く離れた異国の地に
ある青年がおりました。
その青年の村では
困ったことが起きておりました。
ある女が悪魔に魂を売ってしまって
村中の男達がその
女に
やさしさに憑け込まれて
どんどん
木偶の坊のようになっていくのでした。
そんななか青年は
少なからず危機感を覚えておりましたが
こういっておりました。
「なあに、その女だって、かわいいかわいい娘だからの。」
そう言うのですから
村のほとんどの者からは
顰蹙を買ってしまいました。
「あいつは、ろくでなしの、おおばかものだ」
だとか
「あいつには、関わらんほうが身の為だ」
とか
そのように言われるだけじゃなく
友人からも、実際に、距離を取られていたのでした。
その青年の名は
クナ。
そんなある日の昼間に
クナはいつものように
能天気に、メタセコイアの木の下で
寝っ転がって、口を開けて
昼寝をしておりました。
そこへ
あの女がやってきたのです。
そう、悪魔に魂を売ったと
噂をされている、あの女が、、
女は言いました。
「あら、食べがいがある男が1人」
これは、女の口癖でもありました。
そこで、女は無防備な男の様子を見てから
さらに、言ったのです。たいていの者が身の毛のよだつほどの声で。
「魂は、わたしのもの、ふふっ」
そうして
ついに、男の魂を抜き取ろうとしたときのこと
です。
いつものように、男の胸のあたりに
女は悪魔の接吻をしたのですが
今回ばかりは
不思議なことが起きました。
いくら魂を抜こうとしても、逆に
クナの胸に吸い込まれてしまうのです。
「あれ、おかしわ」
何度やっても
そのようになってしまいました。
そうして、とうとう女の髪の毛が抜けはじめるほどになってしまいました。
女は挙動不審になりながら言いました。
「こんなはずじゃない、こんな戯け者にわたしの魔力が通用しないなんて…!!」
クナは、胸がくすぐったく感じたので
ついに、目を覚ましました。
すると
髪の毛の抜けた女が居ましたので
こういいました。
また、クナはすぐに正体を見破りました。
「おまえの毒なんか、わたしが呑み干してしまうわい」
こうして、女に憑いていた
悪魔は、クナの神通力により
回復し、だんだんと美しい天使になっていきました。
女は眠りこけましたが
天使になった、悪魔は言いました。
「この瞬間をどこかで待っていました。それが、いま、実現したのです。ありがとう!」
クナは天使に言いました。
「はあ、何か、わたしがやったか分かりませんが、お役に立てたようで幸いです」
こうして
この村には、天使が守護するようになり
男達は元気よく、女達はしおらしく
子供達は駆けまわって
大きく大きく栄えることに
なったそうです。




