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回想…
――――回想――――
「なんなんだ、さっきの研究授業は! 名前を読み間違えただけで、授業ができなくなるなんて! お前のお陰で、校長にどんな指導してたんだって言われたよ! 」
「すっ・す・いません」
「すいませんですむと思っているのか! これで、俺の出世が遅れたら、お前のせいだからな!」
僕の目から涙が溢れそうになった…ぐっとこらえた…顔と首の筋肉が緊張していた…もう、口を動かすこともできない…。
「何とか言えよ…この、どもり! 」
どもり…小さいときから僕をからかう、いじめる、その言葉を、また目の前で言われた…それも、教師から…僕は、悔しくて悔しくて、なんとか口を少しだけ開けると、絞り出すように声を出した。
「そっ・そ・そんな言い方は、さ・差別だと思います」
「何が差別だ! どもりをどもりっと言って何が悪い! 」
「そ・それでも、きょ・教師ですか! 」
「なんだと! もう、いい! お前には、絶対に教育実習の単位はやらないから、そのつもりでいろ」
「そんな…」
「いいか! そんな聞き取りにくい、どもりの教師なんか学校には要らないんだよ! 」