『追放者達』、指針を決める
評価ポイントの追加と感想まで頂けたので、調子に乗ってもう一本載せちゃいます!
割りと煽てられると木に登る豚なので、今後も入れて頂けると投稿が増える……かも?
「…………承りました。書類にも不備は在りませんし、これにて皆様はEランク冒険者パーティー『追放者達』となります事をお喜び申し上げます。
是非ともランクと実力を上げ、市民の方々や私達冒険者ギルドへと貢献を致して頂く事を願っております」
そう言って頭を下げつつ書類を受理した受付のお姉さんが、先に預けていたアレス達四人のギルドカードと共に、人数分のプレートを差し出して来る。
ソレを、慣れた手付きで受け取るガリアン、セレン、タチアナの三人と、受け取って珍しそうに眺めるリーダーのアレス。
「……む?そう言えば、既に正式にパーティーを組んで活動していた当方らと異なり、アレスは今回が初めてであったか?」
「そう言えば、例の幼なじみ二人とはパーティーを組んで貰えさえして無かったんだったっけか?」
「……こらこら、タチアナ様。アレス様があまりの口撃力に項垂れてしまったでは無いですか。そう言う事は、少しは歯に衣を着せて言わないとダメですよ?」
「…………いや、セレンのはセレンので、フォローになってないから……」
項垂れるアレスの背中を労る様に、同性のガリアンが撫で擦る。
あまり虐めてやるな、この年頃は繊細なのだ。
そう、視線のみで語るガリアンに、微笑ましいモノを見るような反応を見せるセレンと、よく分からないモノを見るような視線を向けるタチアナの二人。
「……取り敢えず、パーティーは組めたから、何か依頼を受けようか……」
「まぁ、まだパーティーランクとしては最低の『Eランク』であるが故に、そこまで美味しい依頼は無さそうでは在るがな。
……そう言えば、そなたらの個人でのランクは何処なのだ?当方はまだCランクだが」
「私も、個人では一応Cランクを頂いております」
「へぇー、そうなんだ?二人とも、意外と高いのね。
アタシはまだEランクなんだよねぇ……」
「俺は、まだDだな。あいつらはパーティーランクも個人ランクもAだったんだけど、俺はパーティーに入ってた訳でもないし、パーティーで活動してない時は、二人のどっちかに連れ回される事が多かったから、個人的にコツコツ上げるしかなかったんだよなぁ……。
……そう言えば、俺達ってこうしてパーティーを組みはしたけど、結局の処としてはどうする?」
「どうする、とはまた漠然とした質問だが……?」
「いや、このパーティーとしての決着点。別に、それを達成したから解散、だとか、それを一定期間内に達成できなければ解散、とか言い出すつもりは更々無いけど、それでも一応は定めておいた方が良くないか?取り敢えず、最上位の『Sランク』を目指すとしても、まさか、魔王を倒して英雄になるなんて事を掲げるつもりは無いだろう?」
「「「……いや、流石にソレは無い(です)」」」
冒険者ギルドに所属する冒険者とパーティーには『ランク』と呼ばれるモノが付けられる。
共に、どれだけの依頼をこなしてギルドへと貢献を果たしたのか、どれだけの実力をもっているのか、を分かり易く示している。
個人ランクの最低は『F』、パーティーランクの最低は『E』。
これは、余程の例外でもない限りは基本的にそこのランクからスタートする事になる規則である。
そして、そこからパーティーとしてどれだけの依頼をこなしたのか、個人としてどの様な功績を立てたのかによってギルドがランクを上昇させるのかどうかを判断する。
当然、上のランクになれば、それだけ困難な依頼が待ち受けているし、依頼を失敗した場合の危険性は高くなる。
だが、それに見合うだけの報酬と、高位冒険者であると言う名声が保証される故に、全ての冒険者は最高位である『Sランク』を目指して日々依頼に挑むのだ。
もっとも、幾ら皆が憧れて止まず、絶えず目指しているとは言え、最高位に至れるだけの者は星の数程いる冒険者達の中でもほんの一握りだけであるのは、残酷なまでに厳しい事実では在るのだが。
そして、ソレよりも上のランクとして、伝説の勇者のみが就いたと言われているランクが在り、そこに就く為の条件が出現した魔王を討伐する事、だと言われている為に、敢えてアレスが話題に乗せた、と言う事を訳だ。
とは言え、この反応は昨今の冒険者としては『正しい反応』とは言い難いモノである。
何故ならば、冒険者とは基本的に荒くれ者では在るが、同時に夢追い人でも在るからだ。
であるならば、普通はここで返ってくるのは
『当然!俺達の手で魔王を倒して、世界を救ってやるんだ!』
となる。
だが、この四人、特に少し前まではもろにソレを行動指針の一つとして考えていたセレンすらも、その『一般的な冒険者の行動指針』を真っ向から否定する。
「ですよねー。俺としても、そんな無謀な事は勘弁願いたい。流石に、大層な夢に過ぎるってモノだよ。
どうせ、あいつらだとかみたいな、神サマから愛されている様な連中がどうにかするでしょ?」
「うむ、その通りよ。当方としても、家を背負っていた時には功名に逸る事も在りはしたが、今となっては完全に無縁故にそこまで追い求めるのは些か面倒だ。そう言う事は、あやつの様に手柄に焦がれる者達に任せるとしようか」
「えぇ、えぇ、その通りかと。私としましても、今のこの身軽な立場を失うのも、再び聖女として祭り上げられるのもごめん被りますので、そんな大層な目標はちょっと……。
それに、そんな事は、自ら『選ばれた者なの!』とか言い張れる人に任せるのが一番ですよえぇ!」
「……そこの聖女サマがなんか思い出して荒ぶってるけど、アタシとしても意見は同じね。
夢を見るな、とか言うつもりは無いけど、それでもアタシには過ぎた夢に過ぎるし、何よりそんな実力なんて無いって事はアタシ本人が一番分かってる事だからね。
そんな事、やりたいって言う無謀な連中に任せとけば良いのよ。それで散ったとしても、そいつらにとっては本望ってヤツでしょう?」
端から聞いていれば、無責任の極致であり、冷血の極みである様にも聞こえただろう。
しかし、彼らは既に見切りを付けた者。見切りを付けられた者。
であるのならば、そうやって自分達の事に見切りを付けた連中を救おうだとか、大難に対してどう立ち向かおうか、と言った事を気にする必要性が己の内に最早存在していないのだ。
故に彼らは気にしない。考えない。選択肢に含めない。
何故なら、自分達には関係の無い事だから。向こうから『関係無い』と突き放されたが故に。
…………例え、彼らの力を持ってすれば、艱難辛苦の果てでは在れども、その大難に抗い、討ち果たす事が出来たとしても、である。
「じゃあ、取り敢えずは当面の生活を成り立たせられるだけの稼ぎを得る事と、最終的に最高位のSランクを目指すって事で良いか?」
「うむ。当方としては、それで構わぬよ」
「えぇ、それでよろしいかと」
「まぁ、それで良いんじゃない?」
「なら、取り敢えずはそれで行こうか。丁度、掲示板に依頼も貼り出されたから、見に行ってみるとしますかね」
「「「賛成」」」
そうして、互いの意思を確認しあった四人は、受ける依頼を選ぶべく賑わいを見せ始めた掲示板へと向かって行くのであった。
次回、依頼回りの説明在り
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