表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/220

『追放者達』、『不死之王』と戦闘する

 



「推定だが、ヤツは恐らく近接特化型だ!自由にしておくと、何をされるか分からんぞ!こちらから近接戦に持ち込んで、ヤツに好きに動かせるな!!」



「応!」「任せてよぉ!」




 それなりに彼我の距離がありながら、それでも尚圧倒的な威圧感を放つ『不死之王(ノーライフキング)』へと向かって駆け出しながら、共に前衛を張る事になるガリアンとヒギンズへと発破を掛けるアレス。



 言う程に不安で仕方の無いと言う訳ではないのだろうが、それでも普段は遊撃に徹する彼がこうして二人と共に前衛として前へと出ている以上、やはり懸念は残る、と言う事なのだろう。



 とは言え、既に戦闘モードへと移行している彼の表情にソレを示す憂慮の色は無く、ただただ戦闘の愉悦に浸れる事を喜ぶ肉食獣の獰猛な笑みが張り付いているだけであったのだが。


 しかし、そんな状態であれリーダーとしての自覚は残っているらしく、ガリアン、ヒギンズと共に駆け出しながらも、敢えて声に出して指示する事はせず、冒険者の間では第二言語として広く取り入れられている指の立て型や向きで意思を伝えるハンドシグナルを用い、後衛たる女性陣へと追加の指示を出す事も忘れずに行っておく。



 そうこうしている間に、『不死之王(ノーライフキング)』の間合いに足を踏み入れたらしく、向こうもそれまでのダラリと両腕を垂らして脱力した状態から構えを取り、彼らを迎撃する態勢を作り上げる。



 本来であれば、態勢を整えて待ち構えている格上に対し真っ直ぐに突っ込んで行くのは下策も下策なのだろうが、この場合はそれ以外に出来る事も少なく、更に言えば有効そうな手立ても他には思い付かない為に、最前衛の盾役たるガリアンが大盾を構えた状態にて『不死之王(ノーライフキング)』へと突撃を仕掛けて行く。



 先程の交差によって実力差を理解していたらしい『不死之王(ノーライフキング)』は、当然の様にその突撃を構えた両腕にて受け止め、彼らの心をへし折る為に弾き返そうとする。



 が、しかし、タチアナによる多重の強化を得たガリアンが、限界に近い速度まで加速し、その上で本来であれば防御用のスキルである『パリィ』まで使用しての一撃であった為に、『不死之王(ノーライフキング)』の予想を上回る重さを得ていたその攻撃を弾き返す事は出来ず、そのまま受け止める事となってしまう。



 当然、盾役としての役割を放り出しての特攻を仕掛けたガリアンの方にも、無茶な事を仕出かした反動としてダメージが入っているが、彼の背中に張り付く様にして接近していたアレスがその広い背中へとポーションの入った小瓶を叩き付けて割り掛け、即座にダメージを回復させてからヒギンズと共に、足を止めざるを得なくなっている『不死之王(ノーライフキング)』へと刃を振るう。



 流石に近接戦特化とは言え、足を止めて攻撃を防ぐのに両腕を使い、その上で曲がりなりにも拮抗状態へと持ち込まれている状態では碌に防御も回避も難しく、その身体へと二条の傷が刻まれる『不死之王(ノーライフキング)』。


 しかし、傷を負ったとは言え、アレスが放った首を狙った斬撃は掲げられた腕に受け止められ、ヒギンズの胸骨内部へと目掛けて突き出された穂先は膝によって跳ね上げられて狙いが逸れ、肋骨の上部と鎖骨を片方断つ程度に済まされてしまう。



 瞬間的にとは言え、自らと拮抗させていた力が弱まった事を察したガリアンが押し込もうとするも、その瞬間に絶妙に力を抜かれて故意的に拮抗状態を崩させられ、咄嗟の事に対応しきれず身体が前へと流されてしまう。



 当然、そんな隙を見逃してくれる様な生易しい敵である訳も無く、若干前のめりになり力が掛け難い体勢になったと見るや否や、掲げられていた大盾の上縁に白骨の指が掛けられ、凄まじい迄の膂力にて強引に前へと引き倒されてしまう。



 そして、纏っていた闇属性の魔力を空いている右腕へと瞬く間に集中させると、下手をすればアレス達ですら見逃しかねない速度にて、まずはお前から潰す、と言わんばかりの殺意と共に貫手の形で『不死之王(ノーライフキング)』の一撃がガリアンへと目掛けて放たれる!




「……くっ!仕方無い!

『灼熱の波頭よ、全てを呑み込め!『業火の奔流(ブレイズトーレント)』』!」



「やらせないよぉ!これでも食らいな!

『龍闘気解放』!せいっ!!」




 だが、ソレを他の二人が黙って見ているハズもなく、アレスは『不死之王(ノーライフキング)』が纏っている闇属性の魔力を突き破れるだけの出力を持つ魔法を、実際に使った際近くの仲間への被害を思って抱いていた躊躇を振り切って魔法を放ち、ヒギンズも一部の龍人族(ドラゴニア)のみが扱える、身体能力を爆発的に高めるオーラの様なモノを纏いながら放たれた貫手へと目掛けて蹴りを放つ。



 ほぼゼロ距離から放たれた、アレスの扱える大魔導級の中でも効果範囲と威力に優れた魔法を食らった事により体勢を崩し、元より高い身体能力をタチアナの支援術にて増強していた上に、更に自前のスキルにて上昇させた熟練の技術を持つヒギンズが放った蹴りによって僅かに貫手の軌道にブレが生じ、ガリアンの頭目掛けて放たれた一撃は彼の兜を破壊し、頭部の毛を一部刈り取りながら床へと大きな穴を穿つだけの被害で小さく収まる。



 自らの攻撃を外された、と言う事に動揺したらしく一瞬だけ動きが鈍り、次の行動までの時間が伸びたその隙とも言えない様な合間にて床を転がって待避し、跳ね上がる様に起き上がって再度盾を構えて見せるガリアン。



 鎧は、アレスの魔法の余波にて所々煤けつつ赤熱し、今も彼の肉体を焼く嫌な音と臭いを立てているが、それでも彼は盾を手放す事はせず、瞳から闘志の光を消し去る事無く油断せずに大盾を『不死之王(ノーライフキング)』へと向けて構えて見せる。



 そんな彼の姿に安心したのか、追加でポーションの瓶を投げつけながら、今度はこちらの番だ!と言わんばかりの気迫にて迫るアレスとヒギンズ。



 まず、珍しく最前衛へと躍り出たアレスが、支援術にて更に強化された素早さを活かし、全方位からほぼ同時に斬撃と魔法による連撃の嵐をお見舞いして行く。


 当然、その殆どは手数を重視したが故に軽いモノであったり、そもそも『不死之王(ノーライフキング)』が纏う闇属性の魔力を突き破れる程の威力の在るモノでは無かった為に、本体へとダメージを通す事が出来なかったが、それでも残りの本命としての攻撃の幾らかは、本体性能としての防御も技術としての防御も潜り抜けてダメージを負わせる事に成功する。



 ほとんど効いていないとは言え、一方的に攻撃される事に不快感を抱いたのか、それまでの『受け』の姿勢から『攻め』へと転じる為に構えを切り替える『不死之王(ノーライフキング)』。



 そして、目の前でチョロチョロとうざったく飛び回る羽虫に対し、決殺の一撃を叩き込むべく拳を突き出した。



 しかし、そうして突き出された先には羽虫(アレス)の姿は無く、拳にも肉の身体を貫き通した感触が伝わって来る事は終ぞ在りはしなかった。



 自らには理解出来ない怪奇現象に、またしても一瞬意識に空白を作らされてしまう『不死之王(ノーライフキング)』。




 一体何故?どうして?アレは何処に行った!?




 そんな疑念が彼の思考を埋め尽くすと同時に動作も止まり、この戦いで最大の隙が発生するが、当然その隙を見逃すハズも無い男が槍を突き出し、それと同時に後方にて控えていたタチアナによる妨害術と、今の今まで掛けて準備したセレンの神聖魔法が『不死之王(ノーライフキング)』へと殺到するのであった。







 ******







「…………おいおい、マジであいつら例のアイテムを使う処か碌に調べる事すらせずに戦い始めやがったぞ?

 幾ら、あれらが『意味在り気に見えて本当に使えるが実は……』なアイテムだったとしても、普通はあんなの持って帰ったら真っ先に調べるだろうがよ!?

 ……あ~あ、このままだとジョシュア君も倒されそうだし、どうしようかなぁ~……って、アレ?……おいおいおい!これは、ちょっとアレ過ぎないか!?マジで!?

 ……ははっ!これは、まだ分からなくなってきた、かな……?

 まぁ、良い。精々、楽しませて貰うとしようじゃないか」






やったか!?(フラグ)


面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価等にて応援して頂けると励みになりますのでよろしくお願い致しますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] クランハウスになるのか、クラン所有のダンジョンになるのだろうか? [一言] 伏線厨なので結構勘繰ってしまう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ