自分語り~従魔士の場合~
……へへっ、感謝の予定外更新ってヤツでさぁ……
なに、少しばかり書き貯めが減ってきただけの事よ
大した事はありゃしやせんよ……(吐血)
…………え、えぇっと、それは、ボクから面接する、と言う事なのですか?
面接の一部?
……分かりました。では、話させて貰うのです。
え?まずは自己紹介から?皆そうだったから取り敢えず形式美として、なのです?
……そ、それは失礼しましたなのです!では、先ずはそこから始めさせて貰うのです。
一応、提出した書類にも書いておきましたが、ボクの名前はナタリア。ナタリア・ネルセシアと言うのがボクの名前なのです。
こんな見た目ですが、もう二十四なので子供扱いは止めて欲しいのです。ついでに言えば、こんな一人称を使っていますがボクの性別は『女』なので間違えない様にしてくれると助かるのです。
……いや、そこまで大袈裟に驚かれると、流石にボクでも傷付くのです……。
こんなチンチクリンな見た目してれば分からないかも知れないですけど、これはそう言う種族だからなのです!
決して、ボクが同族の中でも群を抜いてチンチクリンだって事ではないのです!
……良いですね?
…………さて、まだ納得しかねる部分も在るには在りますが、取り敢えず自己紹介を続けるのです。
ボクの天から授かった職業は『従魔士』。
知っての通りに、魔物や動物の類いを『テイム』スキルで従えて、それらの力を利用して活躍する職業なのです。
……それなら、なんでポーターとしての募集に応募したのか、なのです?
……それは、ボクがここの募集要項を満たしている事から察して頂けると有難いのです……。
…………まぁ、黙っていて後でバレるよりも、今正直に話してしまった方がまだマシな結果になるか、なのです。
とは言え、別段ボクが以前所属していた冒険者パーティー『森林の踏破者』を追放されたのには、何も特別な事情が在った訳でも、何か大いなる意思が関わっている、とか言う訳でも無いのです。
ただ単に、ボクが周囲から求められていた能力を、上手いこと発揮する事が出来なかっただけなのですから。
……ご存じかとは思いますが、本来『従魔士』とは、一定の練度が必要とはなりますが、ある程度迄の強さの魔物であれば、その場で何もせずに服従させて戦力とする事が可能なのです。
そして、その服従させた魔物を使って、より強い魔物を弱らせてからスキルを使って服従させる、と言う事を繰り返し、段階的に外的要因による『強さ』を増して行く職業なのです。
もちろん、最初からそう言うことが出来る訳ではないのです。
でも、ある程度の慣れだとか、それこそ最初の方は餌付けしたりだとかから始めれば、大概はどうにか服従させる事が可能なのです。
……ですが、ボクにはそれが出来なかった。
もちろん、ボクもそれなりには経験を積んでいるので、魔物ではない動物の類いであれば、少しの食料と引き換えでボクの言うことを聞いてくれる様に頼む事は可能なのです。
……ですが、ボクにはどうやっても、動物では無い魔物を従える事は、出来なかったのです。
これもご存じだとは思いますが、基本的なスペックが魔物と動物では全然違うのです。
何故そうなっているのかまではまだハッキリと分かってはいないのですが、同じく系統のモノでも、魔物と動物とでは大体三倍から五倍位のスペックの差が出て来てしまうのです。
ですので、元居たパーティーでボクに求められていた『戦闘要員』としての働きは、あまり発揮する事が難しく、最終的にはこうして追放処分にされてしまった、と言う訳なのです。
……まぁ、流石に、追放される直前位からは、もう先が長くないのだろうなぁ、位には思っていたのですよ?
そこら辺になると、流石に他のメンバーの態度が悪すぎましたし、これ見よがしに舌打ちしたり、わざと聞こえる様に陰口を叩かれたりなんて日常茶飯事だったのです。
もちろん、それなりにショックではあったのですよ?
これでも、それなりに長く組んだ相手では在りましたので、流石にそこまでの事はしないだろうな、位には信頼していたつもりなのです。
……まぁ、こうして裏切られて追放された訳なのですが。
そんな訳で、戦闘要員としては『役立たず』として追放されてしまったボクでしたが、だからと言って冒険者を辞めてまで何かをしたいとは思えなかったのです。
そんな時に、この『追放者達』の募集用紙を見て、これだ!と思ったのですよ。
戦闘要員としては、どうしても使い物にはならないのは分かっている。ならば、別の方面で求められる事を成して活躍すれば良いのでは?との考えに至ったのです。
幸いにも、ボクは動物に限れば結構多めに『テイム』スキルで服従させられるので、荷物の運搬と言う意味合いでは、それなりに使えると思うのです。
後、基本的に魔物はテイムしていたとしても街には入れられないので、余程資金力の在る人以外は、この言い方はあんまり好きじゃないのですが、その場で使い捨てるか、もしくは自らの手で止めを刺して素材にする、と言った感じになるのです。
でも、ボクの場合はテイムするのは動物ばかりなので、一度服従させれば怪我をしたり死んでしまったりする事が無ければ、街中だろうと何処だろうと連れて行けるので、一々場面場面での教育をし直す、と言う手間が省けるのは大きいハズなのです!
デメリットととして、多少の餌代が掛かりますが、それはボクに支払って頂ける分け前から出すのでパーティーに迷惑は掛からないのです。
彼等の世話もボクが全部するので、どうかボクをこのパーティーに雇い入れては貰えませんか……?
……元のパーティーが寄りを戻そうとしてきたらどうするか、なのです?
………………そう、ですね……。
それは、あまりに有り得ないであろう事柄でしたので、今まで考えた事も無かったのです。
……でも、万が一にも有り得ないそんな事が、万が一有り得たとしても、多分ボクは戻る事は無いと思うのです。
リーダーのトッドは、ボクの事情を知った上でボクを引き入れたのに、ソレを忘れてボクの仲間の従魔達をバカにしてばかりいたのです。
前衛のギリギスは、自分がアイテムボックスを使えないから、と荷物を全部ボクに押し付けておきながら、常々『あいつは何もしやがらない』と扱き下ろしてくれたのです。
後衛の魔法使いで、ボクを除けば唯一の女の子だったメラニアは、ボクを気遣うフリをしながら、陰ではボクの事を『只のお荷物で報酬泥棒』とまで呼んでいたのを知っているのです。
……だから、幾らボクの仲間を養うのにお金が必要だからと言っても、あんな連中にまた尻尾を振って媚びへつらうつもりは毛頭無いのです……!
…………え?今テイムしている種類と総数ですか?
……えっと、追放された時に、どうしてもボクと一緒に居る、って言ってくれた子達だけを残して後は還したので、今居るのは森林狼が八頭と、月紋熊が一頭だけ、なのですが、それが……?
……月々換算での、餌代、なのです?
……まぁ、今の数ですと、精々銀貨で一枚と少し、と言った位なのです。
…………え?雇用条件?
従魔達の餌代はパーティーの資産から出して、予め決められた規定に沿って特別手当ても含めた月給制!?
それと、運んだ荷物の量と、同行した回数に応じた臨時手当ても支給なのです!?
……その代わりに?テイムされている動物をモフモフさせて欲しい、なのですか?
……………………まぁ、あんまり変な事をしないで、かつあの子達が嫌がる様な事をしないのであれば、ボクとしては願ってもいない限りの条件なのです。
正直、まだ完全には信じられていないのですが、取り敢えずはお世話になりたいと思っているのです。
ですのでどうか、ボクを追放しないで下さいなのです。
ソレだけは約束して貰えるのでしたら、ボクは精一杯お務めを果たさせて頂くのです!
…………ふぅ。
さて、これでボクの番はおしまいみたいなのです。
なので、次は貴方の番なのです。
あんまり恥ずかしい様な過去は聞き出さないみたいなので、存分に語られてしまっても大丈夫なのです!
もし駄目だった時には、その時はボクが一緒にシーラさんに報告に行って、その後でやけ酒に付き合うのです。
ですのでどうか、貴方も語ってみては如何なのです?
中々に、スッキリシャッキリするのでオススメなのですよ?
面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価等にて応援して頂けると励みになりますのでよろしくお願いします




