自分語り~暗殺者の場合~
取り敢えず、プロローグ部分は連続投稿してみる予定です
……えっと~、皆さんとは……初めまして、ですよね……?
うん、良かった良かった。
覚えが無かったから確認したけど、やっぱりそうだったみたいだね。
あ、一応聞いておきたいんですが、やっぱり敬語とかの方が良いですかね?
生憎と育ちが良くないんで、そう言うのは苦手なんで……え?大丈夫?じゃあ、砕けた感じで行かせて貰うよ。
じゃあ、取り敢えず注文しちゃうとしますか!
すみませ~ん!
―――んじゃ、注文した飲み物も来た事だし、取り敢えず乾杯!!
…………ッグ、ッグ、ッグ、ッグ、ップハー!!!
っかー!旨い!やっぱり、自由になってからの最初の一杯は、格別に旨い!!
『あいつら』の奴隷やってた時は泥水と変わらなかったけど、こうして人間に戻れてからの一杯は格別だぜ!!!
…………あ、っと、こいつは失礼。
ついつい、溜まってた鬱憤が表に出ちまってね。
元より他人に聞かせるつもりの無かった事なんで、あんまり気にせず呑んで下されよ。
……え?良かったら聞かせてくれないか……?
いや、さっきも言ったでしょう?
元より他人に聞かせるつもりの無い事だった、って。
聞いたとしても、多分糞の役にも立ゃしないし、何より今呑んでる酒が不味くなる事間違いなしだよ?それでも聞きたいって訳?
……はぁ。あんた、また随分と物好きだねぇ……。
…………まぁ、良いか。別に、何があるって訳でもないし、既に終わった話だし。
ただ、ここで話し出すとなると、相席した、ってだけのあんたらも聞く羽目になるけど、それでも構わないのかい?さっきも言った通りに、糞の役にも立ゃしない上に、酒が不味くなる事だけは保証出来るけど?
……心の奥に澱が残っているのなら是非とも吐き出して欲しい、ねぇ……。
そりゃまた、外見の通り、まるで物語の聖女様みたいに慈悲深いお人だ事。
それで、一人だけ他人事みたいな顔してるあんたも、聞いて行くつもりなのかい?
……あっそう。じゃあ、好きにしなよ。
さて、じゃあ、何から語ったモノかねぇ……。
取り敢えず、自己紹介からしておこうか?
俺はアレス。家名は無い。只のアレスさ。
見た通りに只人族の男で、見た目は若く見えるだろうけどこれでも成人済みで少し前に十九になったばかりだ。
……え?そこら辺には欠片も興味ない?さいですか……。
……あん?家名が無い理由?
そんなの、俺が孤児だからだよ。
親の顔を知らないし、何処の誰かも知りゃしない。
そもそも、まだ生きてるのかすら定かじゃないし、何で俺の事を棄てたのかを気にするのもここ最近はするのを忘れてた位だよ。
敢えて家名を名乗るとすれば、出身の孤児院から肖って『タウロポロス』ってのになるんだろうけど、悪いが遠慮させてくれ。
既にその名前を使ってる奴らが二名程いるんでね。
……お?意外と鋭いね、あんた。
そうさ、そいつらが俺を奴隷として扱き使ってくれやがった暴君共、同じ孤児院出身の『アリサ』と『カレン』さ。
この辺に来てから長いなら、少しは耳にした事が在るんじゃないのかい?
『蒼窮の剣姫』と『紅蓮の賢者』の所属するパーティー、『連理の翼』ってヤツをさ。
俺は、その二人、『剣姫アリサ』と『賢者カレン』が所属していたパーティーに、ほんの数時間前まで所属させられていたのさ。
斥候兼雑用の奴隷として、な……。
あんたらも知っての通り、あのパーティーは表向き『二人組』って事になってる。そして、様々な種類の依頼を完璧にこなす万能タイプのパーティーで、二人しかいないのにその多様性は有り得ない、とか言われていたみたいだけど、その万能性を影から支えていたのが俺ってこと。
……その時の待遇は、胸糞悪くなるから流石に言いやしないけど、それはそれは酷いもんだったぜ?
あいつら、外面だけは無駄に良い癖に、その手の会合やら依頼主からのアレコレで溜まったストレスは全て俺にぶつけて来やがったし、何より俺がどんな状態であろうとも、それこそ高熱をだして寝込んでいようとも、あいつらが取り逃がした魔物のせいで重症を負っていようとも、構わず自分達の用事を言い付けて来やがるからね。何度死にかけたか分かりゃしないよ。
……まぁ、でも、昔は二人とも優しかったんだよ?
孤児なら、大なり小なり親の顔を知らないのなんて珍しくも無かったけど、俺みたいなのは流石に極端に過ぎたのか他の連中から虐められちゃってね?
その時に、助けてくれて一緒に居てくれたのが二人だったのさ。
だから、十五で成人する時に受けた教会での祝福で、二人が最初から上級職の『剣姫』と『賢者』を授かって、俺が下級職の『探索者』を授かった時から俺への当たりが強くなり始めても、それでも俺は二人と一緒に居たかったから、血の滲む様な努力をして剣も魔法も習得したんだよ。
お陰で、剣の方は『剣術』から始まったけど今では『剣王術』の位階にまでなってるし、魔法の方も『魔術』から始まったけど今では火属性と氷属性なら『大魔導』まで扱えるようになった。
職の方も、『探索者』で得られたスキルの類いは全部そのままに、『解錠士』だとかを経由して必要なスキルを習得してから上級職の『暗殺者』へとクラスアップして、二人に少しでも貢献できる様にしたんだよ。他にも選べたけど、最終的に二人と並んで戦える様に、より攻撃性の高い職である『暗殺者』を選んだって訳さ。
直接的な戦闘にも貢献できるように、ってさ。
……まぁ、それも、こうして追放されちまった今は、あまり関係無いことだろうけどね?
……あん?どうして追放されたのか?
……おいおい、そこに突っ込み入れる?普通。
…………まぁ、それも、もう少しすれば勝手に広まる、か……。
なら、教えても構わないよな。
なに、理由は簡単さ。
俺よりも優秀なヤツを連れてきたから、もう俺は用済みだ、って言われたんだよ。
『何をやらせてもグズでノロマで手際の悪いあんたよりも、余程手順が良くて要領も良くておまけに外見も整っているメンバーを捕まえて来たから、もうあんたは要らない』
だったかな?
……流石に、言われた瞬間はショックだったよ。
二人ともに、俺の事は一切誉めた事が無いのに、新しく入れようとしているヤツの事は褒め称えていたし、何より二人とも欲情したメスの顔をしていやがったからね。
……でも、その時に言われて初めて気が付いたのさ。
……アレ?別に、心身ともにボロボロにされながら、コイツらと一緒にいなくても良くないか……?
ってさ。
事実、ギルドの方にも、俺があのパーティーに所属していた、って届けは出ていなかったみたいなんだ。コレは、少し前に調べて来たから確実な情報。
それで、俺があのパーティーにいた時に挙げてた手柄の類いは、二人が黙って自分のモノにしていたのも元から気付いてはいたんだよ。一応は。
だからさ?そこまで言われて、散々な扱いをされた果てに邪魔者扱いを受けるなら、このまま受け入れちまっても良いんじゃないのかな?と思った訳よ。
ガキだった頃の事は、心の底から感謝しているけど、だからって今の扱いが正当なハズがない、って思い至ってね。
そんで、その時に笑顔で追放を了承する返事を返して、名実ともに二人と縁切りしてから現在に至る、って訳さ。
ほら、酒が不味くなるだけだっただろう?
……はっ?その時の二人の様子?
……何故か、ショックを受けた様な感じで、俺がとんずらする時は泣きそうになりながら見送ってたけど……?
でも、アレって俺に反抗されたのが珍しくて驚いていただけで、邪魔で目障りな俺が居なくなるから喜んで感動していただけじゃないの?
根拠?そんなの、日常的に言われてたからに決まってるじゃん?
……と言うか、そろそろ俺の話は良いんじゃないの?
ツマミと次の酒が来た事だし、次は皆の話も聞かせてくれよ。
どうせ、胸の内に溜まってる事の一つや二つは在るんだろう?
だったら、次はあんたらの番だよ。
俺に言わせたんだから、あんたらも言わないとな!
てな訳で、取り敢えず…………次はあんただな、おっさん!
俺から無理に聞き出したんだから、あんたも逃げられると思うなよ?
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