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四人、遭遇する

取り敢えず新作始めてみました


読んで頂けると有難いですm(_ _)m

 


 ――――カランッ、カランッ!



 今宵も、酒場に取り付けられたベルが鳴る。



 カンタレラ王国の首都であるアルカンターラの大通りに面する酒場『眠る三頭犬』は、その日も盛大な賑わいを見せていた。



 このカリュドーン大陸で只人族(ヒューマン)が治める中では最大の国の首都であり、更に言えば冒険者ギルドや商人ギルドと言った数々の巨大組織の本部ないし本支部が置かれている都でもある。


 その為、成人と共に行われる『教授の儀』によって得られたスキルを行使する事により、人類に対して絶対的な悪意と殺意を持って襲い来る魔物を狩り、スキルを行使する事によって得られる練度にてスキルを強化する事で更なる魔物を狩る事を宿命付けられた世界に於いて、世に『魔王』なる物騒極まりない存在が出現していようとも、それに対処する為に苦慮している国が在ったとしても、ここにはその影響は少なく、中には対岸の火事として自らは関係無いと割り切った思考・行動に出る者も少なくは無く、平素と変わらぬ娯楽を求めて人々は酒場や娼館や賭場へと繰り出すのだ。



 そんな諸々の娯楽施設の中で、『眠る三頭犬』は店としての『格』こそは高くないものの、それでも常に一定以上の客足が集う人気店であった。



 そうなっている理由としては、提供される酒や料理が味や量に比べて格安と言っても良い値段にて提供されている事や、ソレを運ぶ給仕達が皆見目が良くて制服も可愛らしいデザインである、と言う事も繁盛している要素の一つではあるのだろうが、やはり最大の理由としては、近隣に冒険者ギルドの本部が在るから、と言う事になるだろう。



 主に戦争や対人間での荒事を引き受ける傭兵の集う『傭兵ギルド』や、未発見・未踏破の遺跡やダンジョンを調査・踏破して成果を持ち帰る事を生業にしている探索者達の元締めである『探索者ギルド』とは異なり、彼ら冒険者とその『冒険者ギルド』の主な仕事は魔物の討伐から街の雑用、要人の護衛から家庭教師まで多岐かつ広域に渡る。



 当然、他のギルドと仕事の内容的に被る部分も存在するが、そこは『とある理由』から衝突は回避されている。むしろ、国からの魔物の討伐依頼や街中の治安維持等も請け負っている側面が在る為に、一般市民からの知名度や人気と言った点では他のギルドに大差を付けているし、下手な場所では身分の縛りで誰もが成る事が出来る訳ではない騎士よりも人気が高かったりする程だ。



 そんな冒険者ギルドの近くに、そんな条件の店が在れば、そこは必然的に一仕事終えた冒険者達が流れて行く事になる。

 そうなれば、荒事で昂った気持ちを落ち着け腹を満たす為に、多くの冒険者達が膨らんだ財布から財貨を落として行ってくれる。



 そうして潤っている『眠る三頭犬』に、その日も来客が在った。



 当然、普段の通りの何ら変哲も無く、特別でも無かったその日に於いて、普段の通りの盛況ぶりを見せていた店内には、その時たまたまカウンターに空きが無かった。



 そして、席が空いていたのは四人掛けのテーブルのみであり、その時来店したのは、たまたま四組の『お一人様』であった。



 故に、空きは無いし盛況ではあったものの、それでも一人でも多くの客が欲しかった『眠る三頭犬』は、その四人に対して一言断りを入れた上で、そのテーブル席へと『相席』と言う形で客達を通したのであった。






 …………そう、この日、この時、この場所に於いてのみ、偶然として交わる事を良しとされた四人が、初めて出会う事になるテーブルへと。

面白い、かも?と思って頂けたのでしたら、ブックマークや評価等にて応援して頂けると励みになりますのでお願いしますm(_ _)m

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