4 護衛任務
ハードは飛んだ!データが飛んだ♪
この章は大丈夫だけど他の小説のデータが飛んだ♪
更新を少なくなります。
ごめんなさい。
へこむー。
アルムに罰を与えたが無駄な努力で終わった日から数日後、ワシは妹と一緒にお茶を飲んでいる。
「港に潜伏中の者達は粗方捕らえたと聞いています。しかしエルズアリアの父親と一部の貴族はまだ逃げているようです」
「そのようだな、毒の売人や買った者も見つかっておらん。暗殺者もだ。簡単には事は運ばんな」
「それでアルムエルグ殿ですがいつまで看板を首から下げさせるおつもりですか?」
アルムは罰としてワシの部屋・妹の部屋では「反省中」という看板を首からかけて立たせている。こいつに反省と言う言葉を理解させる為だ。
「それでアルムエルグ殿は何者ですか?お兄様が信頼している事は存じていますけど……」
「最初に紹介した通り、非常識少年、国が生んだ理不尽、不条理な神から愛された頓珍漢。そしてワシの孫娘の婚約者でもある」
本当に非常識で理不尽で頓珍漢な者だがワシの数少ない信頼できる者だ。こやつを真っ当な人間にするのがワシの役目だ!運命と言っても良いだろう。
「……アルムエルグ殿が信頼できる者と言うのは解りました。話を戻しましょう」
戻すってお前がアルムの話を振ってきたのだろう?
「次は前夜祭です。体調を崩した王妃の代わりにエルズアリアが出席する事になりました。毒殺と殺される可能性があります」
「……アルムの聞いた話ではワインに毒が入っているから酒を飲まなければ大丈夫だろう。暗殺者は何処から狙ってくるかはわからんな。警備を増やしても隙を見せたら暗殺される可能性があるな」
「エルズアリアの近くにも護衛の騎士が居ますけど……」
「そうだな。しかしこっちには非常識の塊がいる。おい!聞いているか?理不尽小僧!こっちに来い! そろそろ看板を外してやるぞ」
ワシが呼ぶと走ってくる。忠犬のような仕草だ。よほど看板を外したかったのか?
「とりあえず、お前はワシと一緒に前夜祭に出席する。そして暗殺者や毒からエルズアリアと王族を守る任務を与える。しかし極秘裏に!お前の正体がバレない様にだ!フォローはゴーイングに頼むとしてお前は正体がバレてないから好きに動いて良いぞ」
アルムは任務と言う言葉が好きな様でその言葉を聞くと真面目になる。
「わかりました。その任務、必ず達成します」
「頼んだぞ!」
「はい!ではゴーイング殿と準備をしたいと思いますので失礼します」
扉の前で待機していたゴーイングを連れて部屋を出た。
「明るくて面白い子ね。姉上の孫だもの。当然ね」
「そうだな。ワシらの血を引いている可愛い孫だ。少しばかり馬鹿だが」
「あら、馬鹿な子ほど可愛いっていうではありませんか。とても可愛いですよ」
「それはとても馬鹿という意味か? 孫に何て言い草だ」
ホホホと笑って誤魔化す癖は治らなかったな。全く、アルムの祖母に似て誤魔化し方が下手な姉妹だ。
数日経ち、前夜祭が始まろうとしている。アルムとゴーイングはいろいろと動いているが何をするのか聞いていない。ゴーイングからは「問題ありません、楽しみに待っていてください」と言う言葉しか聞けなかった。
そしてゴーイングがワシを迎えに来た。エスコートを頼みたい方が居ると言って。
案内された部屋に入ると妹が成人になりたての可愛い女性と一緒に待っていた。
……どこかで見た事があるような。ドックライム公爵家に嫁いだ妹に似ている気がする。
「私の変装は如何でしょうか?」
その声を聴いて驚く!
「アルムか!」
「はい、これで今回の任務に当たらせていただきます」
淑女の格好をしたアルムに驚きを隠せなかった。
※
先王陛下から任務を受けてどうすれば良いか考えたら直ぐに対策を思いついた。変装だ! 変装をしよう!
子供が大人の男性に変装するのは難しい。しかし大人の女性になら変装は可能だ! 身長もヒールの靴を履けば大丈夫。問題は衣装だな。ゴーイングさんと相談して先代王妃に協力を求めた。
先代王妃はノリノリで手伝ってくれて。衣装から化粧まで手伝ってくれた。
「姉に似ているわね。やっぱり姉の孫ね。そうだわ!兄にエスコートを頼みましょう」
そして先代王妃は悪乗りをしてエルズアリアさんにも声をかけて手伝ってもらい淑女のマナーを身に着けた。
そうして出来上がった変装は先王陛下も騙せる女装だった。
「申し訳ありません。口止めされていました」
顔を引きつらせながら先王陛下に謝るゴーイングさん。貴方も面白がっていたでしょう!
「……確かに驚いた。これなら大丈夫だろう。しかしマナーは大丈夫か?」
「大丈夫です。ファラレスト様やエルズアリア様に教えて頂きました」
「私もフォローするから心配ないわ」
「そうか……」
そうしてオレ、いや私は先王陛下にエスコートされて前夜祭に出席する。
広間に入ると視線が集まって少し変な気分になる。
先代王妃が入場して最後に国王とエルズアリアさんが入場する。今回は顔を隠しておらず、とても美しい女性だった。この美貌で国が滅んだと言っても過言ではないだろう。
一段高い席に国王とエルズアリアさんが座り、エズルアリアの横には先代王妃が座る。その途中には騎士達が守護する。これなら直接的には暗殺は出来ないな。
その後、中年男性達が国王そっちのけでエルズアリアさんの周りに集まろうとするが護衛の騎士が守っている。……祝福の力ってマジで凄いな。
「アルムよ、どうだ?」
「暗殺者の姿は見当たりません。遠距離から仕掛けるかもしれないですね」
「護衛の騎士達が守っているから大丈夫と思うが……。なにかの騒ぎに乗じる可能性がある。注意をしておかなければ」
「わかりました。しかしここの料理は美味しいですね。特に魚貝類が美味しいです」
「……確かに美味い。このワインに合った料理だ」
「ワインに毒が入っているそうですが大丈夫なのですか?」
「ワシは毒殺対象外だ」
「駄目です。水で我慢してください」
後ろに居たゴーイングさんにワインを取られ水を注文された。……護衛として当然の任務だと思う。
食事をしながら周囲を観察する。そして国王陛下に耳打ちする騎士の声を拾う。
「……襲撃があったそうです。少ない数で突撃をしてきたそうですが撃退して捕らえたと言っています。捕まった者の中にはエルズアリアさんの父親が居たそうです」
「そうか。蜂起は失敗に終わったな。エルズアリアも酒は飲んでないから大丈夫だろう。ファラレストが注意しているようだな」
「残るは暗殺者ですが……」
「前夜祭ではなくて明日の祝勝会に事を起こすかもしれんな」
「前夜祭の終了時間は?」
「そろそろ国王が退出する。その後は自由時間だ。帰っても良いし、そのまま楽しんでも良い」
「退出する時間に事を起こすか、帰りに事を起こすか」
……注意して周辺を見ていると何か変な感じがする。なんだろう?ゴーイングさんに合図して周辺を観察する。
「……魔法を使う気配がする」
ゴーイングさんの言葉を聞いた瞬間に風が吹き蝋燭や松明の火が消えた。驚く者も居たが、何かの余興と勘違いしている者もいる。
この瞬間を狙ったのか!何かがエルズアリアさん達の方に飛んで来る。瞬時に動いてそれを阻止した。
毒が付いているナイフ十本。国王もエルズアリアさんも先代王妃の三人を狙った投擲だ!手で掴む事が出来なくて体を張って止めた。ドレスに穴が空いてしまった。借り物なのに……。
再度ナイフが飛ぶ! 今度はエズルアリアさんを狙った五本のナイフ。それを掴んで一本投げ返した! 敵に当たったか?掠ったか?今がチャンスと思って暗殺者の元に向かう。
暗殺者は天井に近い窓から降りてバルコニーに逃げている。
バルコニーから飛び降りようとしたので三本のナイフを全力で思いきり投げた!
あ! 一本のナイフが賊に当たり衝撃で壁にぶつかって賊は地面に落ちた……。
失敗した。殺してしまったかもしれない。死んでいたら黒幕を聞けなかった。
……広間に戻ろう。ドレスが穴だらけになったけどなんて言い訳をすれば……。
広間に明かりが灯った。そのとき悲鳴が聞こえる。何事かと思って広間に戻ったらエルズアリアさんがワインを飲んで倒れている。どうしてワインを飲んだ!何が起きた!オレは先王陛下が居る場所に行った。
「アルム!……その恰好は暗殺者を撃退したのか」
「すいません、生きて捕らえる事が出来ませんでした。エルズアリアさんは」
「暗闇の中でワインを飲んで倒れたようだ。おそらく毒が入っているワインだ」
「どうして!ワインは毒だと知っていたのに!」
「……わからん」
……駆け付けた医師がエルズアリアさんは死んだと公表した。その言葉を聞き入れなかった国王は医師を殴りつけ、剣を抜いて殺そうとしたが周りの騎士達に止められた。そして中年男性達は悲しみに泣き崩れ前夜祭は葬式のような悲しさに包まれた。
悲しみのせいか国の象徴である時計塔までもが崩れ落ち崩壊した。
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