ブラジャーは許せません。犯罪だと思います。
中学に入学してすぐのころは特に何かが変わったということはありませんでした。
あ、でも確か入学初日、私も驚くようなことが一つありました。
入学初日、生徒が一堂に集まる体育館で、なんと私が一番前に立たされたんです。
前置きしますが何か変なことをやらかしたという意味ではないですからね?
単純に背の順で並ぶと私が一番前になってしまったというだけの話です。それだけの話なのですが、不思議なこともあるものだと物思いに耽りました。私はこれでも女子の中では平均的、あるいはそれよりもわずかに小さい程度の身長だと思っているからです。まあでも私よりも背の低い子が全員別のクラスになってしまったので仕方ありませんね。別に私が小さいわけではないんですよ?たまたまです。たまたま。
実際私のクラスの女子はみんな背が大きかったです。私の次の子は私よりも五センチも背が高い子でした。学校側が選んだクラス分けに文句が言いたいわけではありませんが、このような極端なクラス分けをしてしまっては体育祭の時などに問題が生じないか心配にもなってしまいます。
そんな一種の現実逃避めいたことを軽い愚痴と共に同じクラスになった親友にぶつけてみました。
「ナナちゃん、現実から目を逸らしちゃだめだよ」
すると親友のサキちゃんは、私が現実逃避していることをばっちりと見抜いて、可哀そうな目を向けながら現実を突き付けてくるのです。
これにはさすがに私もムッと来て、
「ま、いいけどね。私はまだまだ伸びるし」
と強がって見せてみました。
そしたらひどいんです。
サキちゃんはまだ真新しく型が残っていた制服の上から、私の胸を揉んできました。
ポスッとその時胸の隙間から押し出された空気が私の髪をふわりと持ちあげたのです。
衝撃でした。私の胸には夢いっぱいのおっぱいではなく、ただの空気が詰まっていたのですから。
その衝撃に打ちひしがれている間もサキちゃんは私の胸を揉みました。
そしてようやく衝撃から立ち直った私の肩に手を置いてこう言うのです。
「あきらめなさいな」
それはまさしく言葉と現実の暴力でした。三年たった今でも、この言葉だけは鮮明に思い出せます。
当然そんな現実を突き付けられた当時の私は平気なわけがなく、涙ながらにサキちゃんの胸に飛び込みました。
「あはは、ナナちゃんったらかわいいなぁ」
するとそう言いながら、同級生なのにまるで子供をあやすように私の頭を撫でました。
けれど、きっと私はその行動に憤慨はしていなかったと思います。私がサキちゃんに抱き着こうとすると、背丈の問題で私の顔はサキちゃんの胸に飛び込むことになるのです。なので、私はきっとサキちゃんの胸に不可抗力で顔をうずめられることをいいことに、将来のライバルになるであろうサキちゃんの胸を堪能していたと思います。
そうそう、思い出しました。ちょうどその時私はある重大な事に気づいたんです。
「むぅ、おっきい。やわらかいぃ。……何カップ?」
「えっ、そ、そんなに大きくないよ?……Bカップ」
その時、私の嗅覚は敏感に事件の臭いをかぎ取りました。下手をすれば犯罪級です。
「ナナ、ちゃん?――わひゃぁ」
私はその真意を確かめるべく、制服の隙間から直接手を突っ込んで、サキちゃんの胸を直接揉みました。
「ちょっとナナちゃん!?」
サキちゃんは慌てて私を突き放し、脅えた瞳で私を見つめながら自分の胸を隠していましたが、もう明らかでした。
「……サキちゃん」
事件です。これはもう犯罪級です。
「……ブラジャー、して、る……」
なんと親友のサキちゃんが、ブラジャーデビューをすでに果たしていたのです。これはもう裏切りです。背信行為です。
そこからサキちゃんは何やら言葉を紡いでいましたが、私の耳には入ってきてはいませんでした。サキちゃんに裏切られ傷心した私は再びサキちゃんの胸に飛び込み、その胸を揉んでやりました。腹いせにいっぱい揉んでやりました。私が満足するまで三十分ぐらいでしょうか、とにかく揉んでやりました。
今思えば何をしているだとも思います。よく私こんなことしてサキちゃんに嫌われなかったなって思います。反省です。でもブラジャーは許しません。犯罪だと思います。




