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不死後衛の苦悩  作者: すろれっさー
国を飛び出す後衛です。
1/66

 ()()それは欲深い生物である人族が望むモノ・・・過去を振り返っても多くの人物が()()を望んだと記録されている。

 大規模な魔法によってそれを実現させようとする者や、代償を用いた【召喚魔法】により悪魔を呼び出し、()()を試みた者もいました。しかし、実現した事例はごく少数。身を滅ぼしてしまった者がほとんどである。

 成功した者たちは()()であっても()()ではないため消滅してしまった。

 欲深い人類の理想を実現している生物が存在する。()()()()である生物を神は作っていたのだ。それが()()人族・・・神がこの世に干渉する手段・・・


 私、セルゼルフは不死人族です。私たちは外部的な要因では死にません。ですが、この世から消えてしまいたい場合、私たちは自殺を選びます。そう。私たちは自殺でしか死ねない種族なのです。

 不死人族という種族は特徴的で、身長や内臓機能などの成長は20代で止まります。子供か大人か。この不死人族の国の住人は見た目で年齢が判断できません。寿命がなく、なにをしても死なない。これだけの要因だと人口が増える一方だと思われますが、不死人族は子供が生まれにくい体なのです。

 外見の特徴としては白銀の髪、褐色の肌、真っ黒な眼球、鋭い犬歯、尖った耳、長い鞭のような尖った尻尾です。その他は純人族と同じです。

 考え方の特徴は簡単です。死なないので、危険なことが許されます。私も何度も冒険しました。そして何度も死にました。


 世の中には様々な人種が存在します。おとぎ話で有名なのが吸血人族です。この種族に血液を吸われてしまうと吸血人族に変化してしまうと言われています。この種族も死なないことが有名ですが、実際には死にます。

 再生人族という人種も存在します。この人種は胴、首、脳さえ守ればどこを破壊されたとしても再生します。が、やはりこの人種も死にます。

 自然と共に生活するしかない人種もいます。その代表である精霊人族は自然に囲まれていないと石になってしまうのです。弱いと思われるかもしれませんが、自然の前ではこの種族には勝てないかもしれません。精霊人族だけではありませんが精霊人族は自然を操ることができるのです。

 魔素が集まるポイント、つまり魔素溜まりで生活する長耳人族は魔素や魔力を操ることができます。なので魔法合戦では敵なしでしょう。長耳人族はエルフとも呼ばれています。いえ、エルフと呼ばれることが多いです。長寿で有名ですが、死にます。

 エルフに対して物魔人族は物質を操ります。あまり細かい物質は操れませんが、大地を操ることで有名です。長耳人族とは敵対しています。魔法を使えないというかわいそうな種族ですが、物魔人族は高度な技術を会得しています。

 このように様々な人種がいる中、私たちは不死人族。世界にたったの3213人しかいない種族です。私たちも吸血人族と同じようにおとぎ話や神話で有名です。ただ、私たちは国からあまり出ませんし、外交もしないので物語の中でしか語られない種族でもあります。物語に尾ひれが付いて、物語の中で私たちは残酷で残忍な悪魔と同等の扱いをされています。〝早く寝ないと不死人族がお前を細切れにしてしまうよ。〟これは子供たちを寝かしつける母がよく言うフレーズです。


 その悪魔の人族の一人である私の自己紹介をしましょう。


  「我、己を知らんとする者。ステータス。」


 セルゼルフ Lv2

 種族 人種 不死人族

 ジョブ

 ジョブ履歴

 スキル

 人種スキル 不滅 魔素操作・変換 再生・復活 自然操作・改変 物質操作・創造・改変

 称号 神の使い


 目の前には硝子のようなプレートが出てきます。この魔法は誰にでも、どの人族でも使える魔法です。あの物魔人族でさえも使えるのです。神が自分の状態を見せてくれているという説が有名です。他者から目視されないことも不思議ですね。

 さて、上から順番に説明します。私の名前はセルゼルフです。

 レベルは2です。この値はジョブや、スキルの取得に影響します。

 ジョブとは、お金を稼ぐという職業とは違います。ステータスのジョブは〝その者が志さんとする事を神に認めてもらった証〟なんだそうです。諸説ありますが、ジョブが普通行う()()をすると、そのことが上手に速くできるようです。私の知り合いは【剣豪】なのですが、彼が剣を振ると剣が見えなくなるほど早くなりますし、線を描いた板を線からはみ出すことなく斬ることができます。ですが、その知り合いが槍を使う時には素人です。同じ筋肉で槍を振っていますが、見えますし、下手です。当然ですが、ジョブと職業が一致しなくても職業を選ぶことができます。ですが、ジョブと仕事が一致している人とそうでない人では前者の方が効率よく仕事ができます。

 具体例を上げますと、ジョブが【剣士】の人が剣を作るとき。つまり鍛冶をしたら3カ月で一本の剣ができたとします。出来上がった剣で石を斬ろうとすると折れてしまいます。しかし、ジョブが【鍛冶師】の人が剣を作ると1週間ほどで完成し、石を斬ることができる剣ができます。ジョブと仕事が一致した方が有利なのです。ジョブにもレベルが存在し、レベルとジョブのレベルが一定値を満たすと派生したジョブを選択できるようになります。例えばレベル10で【見習い剣士:Lv20】となりますと、【剣士】が選択できるようになります。

 例えばスキルの欄に【剣術】というスキルがあればそれが無い人よりも上手く剣が使えるのです。スキルはあれば有利なのです。

 人種スキルは〝その人種が使うことを先天的に許されたスキル〟だそうです。私は不死人族ですので、魔素、物質、自然を操れます。気付きましたか?長耳人族、物魔人族、精霊人族の長所を集めています。そして、不滅ですし、死んでも復活できますので、実質的に不死です。不死人族の由来はこの【人種スキル】のせいですね。

豆知識として、復活の方法を説明します。死因が何であれ、死ぬと一度霧状に変化します。意識はあります。霧も自由に動かせます。その状態で体に足りないモノを吸収すると復活できます。簡単でしょう?

 称号とは・・・称号です。不特定多数の人が同一人物を、同じ名称を意識した場合に称号が付きます。他の要因として神が関係しています。神が我々の事を意識し、〝加護〟や〝溺愛〟という称号を付けるという事例があります。しかし、そんな称号を持つ人は極稀です。我々不死人族には【神の使い】という称号が生まれつき付きます。私たちは神に使われる運命なのですね。


 私たち不死人族は近距離戦を得意とします。死なないのですからやりたい放題ですからね。ですが、そんな脳筋な時代は()()()で終わっています。素手で戦う時代は終わったのですよ。今までの戦い方は簡単です。

 相手の魔力を魔素に変換して魔法を使えない状態にします。次に相手の装備全てを操り、裸にします。そして肉弾戦です。そんな時代はもう嫌です。私は裸で殴り合いたくありません。ちなみに女性は遠くで魔法を使っています。いかに女性が賢いのかがわかりますね。



「おい、セル。」

「なんですか?」

「お前今何歳だ?」

「えーっと、恐らく9歳だと。あと何日かで10歳ですね。」

「そうか、そうか。ジョブもスキルも解放されるからな。貰ったら早速ダンジョンに行けよ。」

「言われなくても行きますよー!」


 彼は千歳を超えているお兄ちゃんです。血は繋がっていませんが、〝お兄ちゃんと呼べ〟と言われているのでお兄ちゃんです。

 神様から何を貰うか分かりませんが、ジョブとスキルが解放されるのはうれしいです。スキルは練習するか、そのジョブで条件を満たすかのどちらかで習得か、取得かできるのですが、10歳までは何をしてもスキルを得ることができないのです。この理由を父に聞いたところ、〝10歳になるまでは遊ぶのが仕事だと神が定めたんだ。だから遊べ!ただ、10歳になると魔物とかと戦わなければならないからな。努力の方法を学べ。〟と言われました。何故10歳になると魔物と戦わなければならないのか、と聞いたところ、〝10歳になると腋や股の間から匂いが出る。その匂いは魔物に見つかりやすくなる臭いなんだ。〟だそうです。


「セルは始めになにに就くんです?」

「始めはやはり魔法使い見習いです!」

「そうなの?男の子はみんな拳士見習いなのかと思っていたわ。」

「違いますよ!魔法を極めるのです!」

「そう。いいことだわ。あの脳筋男たちにも見習わせたいくらいよ。」


 女性が去っていきます。彼女は自称19歳のおねぇちゃんです。血は繋がっていませんが、〝私の事はおねぇちゃんって呼んでもいいわよ?〟と脅されましたので、おねぇちゃんです。しかし、おねぇちゃんは祖父よりも年上です。根拠は祖父がそう言っていたからです。


「そろそろ帰ってきなさーい。」


 母の声が聞こえたので帰宅します。もうすぐ10歳です。明日かもしれません。誕生日という制度が私たちの国ではありません。他の人種にはあるようですが、長寿な人種ではそういった習慣がないようです。

私たちがよく使う人族と人種ですが、似ています。ほぼ同じ意味で使われています。なら統一してほしいと私は思います。


「はい・・・今日も美味しかったです。」

「はーい。お皿は片づけておいてね。おやすみなさい。」

「はーい。」


 母の料理を食べ、部屋に行きます。明日起きたら何かが貰えるかもしれないと思うと、早く寝たいと思うのです。


 翌朝。私はすでに日課になっている詠唱を行いました。母に〝たぶん今年で9歳よ。〟と言われた日から毎日ステータスを確認しています。ステータス欄には年齢が表示されていませんからね。しかも、母は曖昧です。もしかしたら来年かもしれません。


「・・・ステータス。」


 長い詠唱の末に魔法名を言います。長い詠唱が嫌です。魔法の唯一嫌なところです。

読んでいただきありがとうございます。

感想、意見など、とても期待しております。はい。


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