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だいななわ!【純粋無垢で眉目秀麗で英名果敢で温和怜悧のうちの妹さんが一人の時に妖しげな健康器具で如何わしいことを部屋でやりながら艶かしい声をあげてるなんて考えたくないんけど実際のところどうなの?】

1


 あの後。

 俺と妹の関係は徐々に昔の状態に戻って行き、一夜のうちに挨拶と日常会話をするほどに戻った。

 今日は母親は遅くに帰ってくるそうなので、しばらく二人っきりになる予定だが、絶対に一線を越えることはない。はず。たぶん。

 そして、その日の夜。

 俺は再び妹の部屋の前に立っている。

 この間は結局電動こけしやらエ〇同人やらの話が有耶無耶になってしまったので、無粋かもしれないが一言だけ聞いておきたかった。

 もちろん問いただしてどうこうしたい訳ではなく、ただ純粋に「これで何してたんだ?うん?」と聞いておきたいだけだ。

 ……それだけだったはずなのだが。

 俺の前にある扉の裏側からは確実に「んっ……!」とか「あっ……ふぅん!」とか「ここ、気持ちよすぎるぅぅぅうう!」とか、なんともなまめかしい声が漏れてきている。

 これは何としてでも妹が何やっているか確かめねばなりませんな!!


「おほん」


 では失礼して……。


「沙夜香、はいるぞ」


 一言声をかけて入室するのは紳士の基本。

 ならノックしろって?知るかそんなもん。今は紳士とか常識とか言ってる場合じゃないんだよ。

 そんなことより、扉をあけ放った俺の眼に映ったのは「え、お兄ちゃん!?」と言う妹と、案の定右手に握られた電動こけしの姿だった。

 ……なるほど、我が妹は慌てると呼び方が戻ってしまうんだな。


「貸してた漫画返してもらおうと思ってたんだけど……、何してたんだ?」


 俺は努めて平静を装って妹に語りかける。


「え……、っと」


 そう言って考えるように顔を背けた瞬間にゴトリ、と、沙夜香の足元に電動こけしが転がった。


「…………」


「…………」


 お互い無言で落ちたものに目を向け、俺が沙夜香の顔を覗き込もうと顔を上げた瞬間、


「こここ、こっっこ、これこれれれこれははは」


 妹は顔を真っ赤にして謎の言語を放ったまま俯いてしまった。


「ねぇ、ほんとに何してたの?」


「……あのね、友達がマッサージに使うと気持ちいいっていうから、あのぉ、こうやって……使ってたの」


 と、電源の入っていない電動こけしを自分の肩に持って行き、スイッチを入れる。


「ん、ふぅ!こ、こうやっん……ってぇ!肩に当てるとぉ……、ゾクゾクっん!!するのぉ!」


 …………。

 まさか正規の方法で使ってここまで艶かしい声を出す奴がいるとは。

 お兄さんびっくりだよチクショウ!

 せっかく妹の濡れb……いやいや。

 そんなことを兄が期待していいはずがない!俺は紳士だ!


「一回ストップ」


「んんぅ、わかっ……たぁ!」


 この光景は目の毒だから一度電動マッサージ機を止めてもらう。


「一言言っていい?」


「いいけど」


「紛らわしいんだよこんチクショウ!期待しちゃったじゃねぇかよ!」


「……とりあえず涙拭いてよお兄ちゃん」


 そう言ってハンカチを手渡してくる妹。

 それを乱暴に受け取ってから、もう一つ気になってたことを聞く。


「あともう一つ。あの漫画はなんだったんだ?」


 しかしその質問を聞いた妹はキョトンとして


「え?漫画?」


 と返した。


「え?」


「え?」


 どうやら本当に心当たりがないようだ。


「ほら、ベッドの下に入ってたやつ」


「……ああ!あれね!」


 俺が確信をつくような発言で思い至ったのか、机の横にある本棚に向かって行って、本棚から一冊の本を取り出した。


「これ?」


「そうだよ」


「これね、友達がこの間来た時忘れて行っちゃったみたいなんだよね。今度来た時返してって言ってた」


 ……俺が買ったもんじゃなかったからだいたいそんなこったろうと思ったけども、まさかあいつの持ち物ではなかったとは。

 てか友達も友達でなんで人んちで◯ロ同人なんか読んでんだよ。

 そして俺は、さっきから気になって仕方がないことを聞く。


「お前、読んだのか?」


 俺は妹の持っている指差しながら、そういう。


「読んだけど、全然わかんなかった」


 俺の質問に対して少しは妹も恥じらうと思ったのだが、そんな様子も見せずにそう言った。

 まさか、俺の妹はショジョでしかも純粋な少女だったのか!?

 あの、いつもきつい目で睨んできてて、想像はしたくなかったけれどもビッチかもしれないと思っていたあの妹が!?

 中学生にもなってこんな純粋な妹は果たして存在しているのか!?いや、目の前に顕現している!

 そうやってつらつらと言葉を並べ、妹を崇め始めたその時、不意にチャイムが鳴った。

 いま夜十時だぞ!誰だこんな時間に!


「俺が出てくるよ」


 しかし内心の怒りは内に秘め、玄関に向かう。

 階段を降り、玄関の前に立ち、怒る気持ちを抑えて扉を開ける。


「もう十時すぎてるんですけど、勧誘ならぶっ(ころ)しますよ」


 そう言いつつ扉の向こうに目を向けると──


「ただいま、お兄ちゃん」


 輝くような笑顔を見せながら、上目遣いで俺の顔を覗き込む幼女がいた。


「お外はさむかったよぉぅ、お部屋に入れて?」


 呆然として硬直している俺の腕をくぐり抜けて勝手に家に入ってくる幼女。

 まあね、妹が一人いれば百人いるっていうしね。こういうこともあるあ


「ねぇよ!」

( ゜∀゜)o彡°幼女!幼女!つるぺた幼女!

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