えぴろーぐ!【戦争は終わらない】
もう少しだけ続くんじゃよ
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弘人を次元の狭間にあるここではない別の世界へ送り届けたセレナは、こと切れた少女を足元に、心底今の状況を楽しんでいた。
「それにしても、ずいぶんと簡単に信用しちゃって、あの子。世の中にはいい大人ばかりじゃないのよ、くく」
部屋に一人で立つ彼女は一人事を呟いた。
直後、先ほどまで浮かべていた満足そうな表情を収め、物足りなさそうな表情をあらわにする。
「でもさすがに彼はうまくいきすぎて詰まらなかったわね。もう少し面白く、そしてしっかりとしたルールにシナリオを練り直さないとね」
そして少し考えた彼女は、ふと、顔を上げる。
「実際にちゃんと戦争を行ってみるのも面白そうね。この神の権能を使えばそれだってできそうだし。それにしても、劣等種のサキュバスになりきるなんて我ながらよく思いついたわ」
セレナはそう言い、そして足元を見下ろす。
「それにしてもこの子、ホントにいけ好かないガキね」
その顔を一瞥すると、忌々し気に舌打ちをして乱暴に蹴飛ばす。
「アンタみたいに純情な愛しかないニンゲンはホント嫌い。見ていて虫唾が走るわ。私としては、あんたが死んだままでいてほしいところだけど」
そこまで言うと、その艶やかな背に漆黒の翼が二対生える。
「彼の頑張り次第ではあなたも生き返れるかもね」
部屋の扉をあけ放ち、そこから彼女は飛び立つ。
「次の獲物はどんな奴にしようかしらねぇ!」
セレナは、そのまま大空を滑空しながら嗤う。
飛び立った部屋には沙夜香だけが残され、そこで行われた行為とそこにいた人物の痕跡は一切残っていない。
セレナが飛び立つ瞬間に沙夜香の指がピクリと動いたのは、果たして幻覚なのだろうか。
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