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さいしゅーわ!【信用の果てに】

1


 俺は既に動かなくなってしまった妹に近寄り、声をかける。


「おい、実は寝たふりをしてるんだよな?起きろよ……!頼むから……、目を、覚まして……ッ!」


 沙夜香の頬には、俺の瞳からこぼれた涙の雫がポツリ、ポツリと筋を作る。

 俺の涙を浴びてなお、沙夜香が目を覚ます気配はない。


「……ック、ククク、ハッハッハハッ!」


「おい、何笑ってんだ、セレナ!?」


 俺が必死に呼びかけているのがそれほど面白かったのか、突然笑い出したセレナ。

 しかし、状況が状況。

 簡単に許せる訳がない。


「何って、あまりにもあんたが滑稽だからよ!」


 突然笑い出し、俺を滑稽だと言い出した。


「お前が、お前が沙夜香を殺したんだぞ!?よく笑ってられるな!」


「だって貴方、ずっと私たちの掌の上で踊らされてるのを知らずに、私が味方だって絶対的な信頼を寄せるんだもの。滑稽ったりゃありゃしないわ!アハハ!」


 俺は、この時初めて、俺がこいつの掌の上で踊らされてると知った。


「じゃあ向井も、悠人も、お前らの仲間だったってことかよ……!」


「いや、向井ちゃんはユウトの口車に乗せられただけじゃないかしら。でも、ユウトはこっち側ね」


 驚愕と同時に、怒りが湧き上がる。

 俺は、今まで、こんなやつと、一緒にいたのか。


「そんな貴方に、いい提案があるわ」


「誰がお前なんかの……!」


「あらそう?ならいいけど。沙夜香ちゃん、生き返らせたくないの?」


 唐突な提案。

 こいつの提案することは全て信じられないが、聞くだけ聞いてみてもいいだろう。


殺戮戦争マーダ・ウォー、それに参加して最後まで生き残りなさい」


 殺戮戦争マーダ・ウォー

 これに参加すれば、妹が生き返るかもしれないのか。

 こいつの言葉を信じたくはないが、妹のことになれば何も考えずに行動してしまう。


「参加、する」


「アハハ!それでこそ私の見込んだオトコね!」


 その言葉を最後に、俺は家からいなくなった。

 部屋の中には、セレナの高笑いだけが反響し続けていた。

そして物語は新章へ──

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