だいさんわ!【妹にヒミツがあるはずないよね?】
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自分の部屋なのでわざわざノックすることもなく扉をあけ放つ。
しかし、ここで事件が起こる。
俺の机の前で腕を組み、仁王立ちする妹がいる。
幸いにも(?)、妹は机側を向いて立っていたので俺に気づいた様子はなかった。
しかしこちらに気づかれていないとはいえ、まだ危険がなくなったわけではない。
パソコンの中には妹とキャッキャウフフするディスクが入っている。
これを見られてしまったら俺は確実に刑務所行き。
前科ありなんてなったら永久にニートだ。
……そうなったらもうゲーム実況を始めるしかない。
そんなことにはなりたくない!だってオフ会に人こなさそうじゃん!その日は車の中で収録することになりそうだよ!
……もうそうなったらライン工始めるしかないな。
まあ、それはともかく。
今は目先の危険を意識しなければ。
「あのー……、何してらっしゃるんですか?」
俺は恐る恐る声をかける。
すると一度ビクリと大きく肩を跳ねさせると時速三百キロはあろうかというスピードでこちらに振り向き、俺を睨みつける。
……と、思ったのだが。
妹は何かを確認するように俺の顔を伺った後、それでもわからなかったようで俺に直接質問する。
「……、見た?」
「えっと……、何を?」
彼女は何かを見られてしまったことを懸念しているようだが、俺はこの部屋に入って数秒しか経過していない。
何を懸念しているのか、お兄さん気になります。
「あっそ、じゃあ私部屋に戻るから。詮索したりしたら殺すから」
と、こちらを殺すかのごとく瞳に殺意を宿らせてこちらを睨みつける。
おお、怖ッ。
そのまま妹は殺意のオーラをまとわせたまま俺の部屋を後にする。
いや、キレるのって普通俺じゃね?
俺お前の部屋に無断で入ったとかそんなんじゃなくってただ自分の部屋に戻ってきただけだからね?
……しかし、詮索するなと言われると詮索したくなるのが人の性。
先ほどまで妹が立っていたところに行くと、そこにはポニーテールがもげ、見るも無残な姿になった『きゅるるん☆チェンジ!きらら♪〜せかんどしぃずん〜』のメインヒロインである綺蘭莉ちゃんの限定生産モデル、『【劇場版きゅるるん☆チェンジ!きらら♪〜星緋亜町の一夜の戦争〜】バケット・レイス戦特別仕様きらら♪[1/8スケール]』があった。
俺は驚愕に一瞬思考能力を失う。
え?嘘でしょ?
これプレミア付くんだよ?未開封でオークションにかけたら余裕で六桁円とか行っちゃうようなやつだよ?
しばらく経って落ち着くと、ひとえにこう叫んだ。
「よくもやったな、さやかあああああああああああ!!!!」
シリアスファンタジーよりもギャグの方が自分の執筆スタイルに向いてる気がしてきた