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だいさんじゅーろくわ!【呪われた魔法文字】

1


 向井を玄関で見送り、さっそく妹の部屋に行こうと振り返ったところで、


「あんた何ちょっとリア充してんのよ」


 セレナと出くわした。


「びっくりしたな、オイ。居るなら居るって言えよ」


「そんなことよりアンタ、沙夜香ちゃん大変なことになってるわよ」


「……は?」


 状況が呑み込めない。

 え、俺が向井と話をしている間になんだか知らんけど大変なことになったって事?で合ってる?


「え、その大変なことってなんだよ」


「まあ、それは見てみればわかるわ」


 てかなんでこいつはその事実を知っていながら俺に声をかけなかったし。

 さては確信犯だな、オメー。

 とか言ってる場合ちゃうやろ!


「部屋にいるんだよな!?」


「ええ」


 俺はセレナの返事を聞き、急いで先ほど降りてきた階段を駆け上がる。

 突き当りを左に曲がり、直進して一番奥の部屋をノックせずに開け放つ。

 そこには先ほど俺を電動こけしで気絶させた沙夜香が、今はベッドの上で頬を上気させ喘いでいた。

 しかし、それは決して性的興奮を覚えたからではない。

 その顔はまるで腹を引き裂いて出てこようとする何者かの痛みに必死にこらえているようであった。

 背中を丸めてうずくまり、その少し赤みを帯びた腕はきつく体を抱き、唇の隙間から漏れるかすかな息の音と苦し気な声は、俺の心を締め付けるように耳の中で幾度となく跳ね返る。

 遅れて部屋に入ってきたセレナに、俺は開口一番文句をぶつける。


「どうしてこんな状況になるまで俺に知らせずに放っておいた……!しかも俺に説明する時は症状が現れるような異常はなかったって言ったろ!とにかくまずは救急車──」


「これは医学的に解決できることじゃない。性戦の参加者に描かれるような紋章はね、すべて魔術的に意味のあるものなの。その文字一つ一つには魔力もこもっている。その辺に売ってるマジックで書くのとか刺青を彫るのとは訳が違う。だから本来性戦の参加者に出てくる紋章はそばにいる淫魔が主人の精力を消費して紋章の暴走を抑えないといけないの」


「でもそれだと……」


「そう、彼女にはその暴走を抑える淫魔がいない。今は私があなたからこの間受け取った精力を使って暴走を抑えてるけど、本来契約した淫魔以外の魔力は紋章には合わない。紋章が暴走するのも時間の問題。これはあなたがいてもいなくても変わらない。だから私はあなたにこの事実を伝えに行くよりも暴走を抑えるよ事を優先したわけ。お分かり?」


 なるほど。こいつが俺を放った理由はよくわかった。

 感謝すら覚える。

 しかし、そうなるとかなり妹はヤバい状態なのか……?


「な、なぁ。その紋章が暴走したらどうなるんだ?」


「私にはわからない。過去の性戦でもこの紋章が暴走して起こった事件は一度も起こってない。いわばこれは初めての例なの。対処法は私たちで見つけていくしかない。で、あの時は異常が見られなかっただけで私だってこれは予想してなかったのよ」


「……わかった。それで、今のところどれくらい策があるんだ?」


既に俺とセレナの間には緊迫した雰囲気が流れている。

自然と返事を聞く側の俺も握る手に力が入る。


「私が今のところ思いついているのは一つだけ。でもこれは危険を伴う」


「策だけでも教えてくれ」


 セレナは俺の返事から数舜間を開け、俺にこういった。


「ここで性戦を行い、沙夜香ちゃんを脱落させる」

久しぶりのシリアスパートがかけて僕、満足!

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