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まくあい【妹の日常】

1


 最近のお兄ちゃんはいつにも増して根暗な感じになってしまった。


「おかえり。いつ帰ってきたんだい?」


 今日のお兄ちゃんもなんだかちょっと気持ち悪い。

 私の中にはずっと昔の優しかったお兄ちゃんの記憶が残っているから、中途半端に邪険になっちゃってるんだけど、私と同世代の女の子とかもうすこし年上の女の子は兄とは殆ど縁を切るものなのかな、と思ったりもする。

 そんな風にモヤモヤしたまま部屋に戻るから、そんな自分にイライラしてバタンと大きな音を立てて扉を閉めてしまった。


「しまった」


 やった後に、お兄ちゃんを余計に傷つけてしまったかもと思った。


「昔はあんなじゃなかったのに」


 部屋に戻り、ポツリと呟く。

 バスケをしていた頃のお兄ちゃんは、私の周りにいる男子なんて目じゃないほどかっこよかった。

 ボールを魔法のように操り、相手の人まで魅了するように捌く。

 そんな姿は、誰よりも私を魅了した。

 なのに、最近のお兄ちゃんはそんな思いを抱いた私をがっかりさせるほどにカッコ悪くなってしまった。

 この間だって、妹モノのエッチなゲームをやってるところを見ちゃって、慌てて自分の部屋に戻ったけど、私はそんなお兄ちゃんを見たいんじゃなくってカッコいいお兄ちゃんを見たいの。

 ああ、そんなことを考えてたらイライラしていた。

 ドン、と壁を一回殴る。

 すると、隣の部屋からガタン、と、鈍い音がした。


「まさか、ね……」


 様子を確認するために恐る恐るお兄ちゃんの部屋に入る。

 そこには、お兄ちゃんが大事そうに抱えてたアニメのフィギュアが壊れて落ちていた。

フィギュアが壊れたのにはこんな理由が……

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