だいにじゅーななわ!【争いの裏で】
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何事もなく無事に帰宅した俺は、まだ目覚めない妹を妹の部屋に寝かせてセレナと話をすることにした。
ちなみに、目が覚めない妹を怪訝に思った俺がセレナに妹の容態を聞くと、「寝てるだけ」と言われたので、ひとまず安心した。
サキュバスの言うことを丸々信用するわけではないので、明日目が覚めなかったら病院へ連れて行こう。
「で、話ってなんだ」
自室に戻って早々、話を切り出す。
「今日、私たちのほかにも二組、性戦をしたクラスがある」
セレナはいきなり俺が本題に入っても嫌がらずに言う。
しかし、俺たちのほかにもう二組戦っていたとは。
「私たち淫魔に流された情報では、今日倒されたクラスは[腐女子]、[性別的性癖]、[熟男熟女]の三つみたいね」
なるほど、どのクラスが倒されたかはその日のうちに伝達されるんだな。
「倒された状況ってのも判るのか?」
俺が質問すると、セレナは目を伏せ、
「残念ながらそこまで詳しく知ることはできないの。知ることができるのは倒されたクラスだけ」
といった。
しかし、それならそれでいい気もする。
倒した奴がどんな形で勝ったのか知ることができないのは悲しいが、それは逆に、こちらがどんな形で勝ったか知られることがないということだ。
今回こそダーツだったが、戦う回数が増えれば麻雀が選ばれることだってあるだろう。
それが知られることがないというのはいいことだ。
「とにかく、今日だけで三クラスもいなくなってるってことは、今回の性癖戦争は喧嘩っ早い奴らが沢山いるかもしれないってこと。明日以降喧嘩を売られる可能性もあるから、そのあたりも考えて慎重に行動してよね」
セレナは真剣な表情で語り掛ける。
こういうのを見てると、淫魔だってのを忘れそうになるな。
もっと淫魔ってのは性に執着して何としてでも生を搾り取ってくるもんだと思ってた。
「了解。じゃ、もう寝るわ」
今日一日でいろいろ起こりすぎて疲れで死にそうだ。
「はい、お休み」
俺はセレナに見送られながらすぐに眠りについた。
性癖戦争が終わったら何しましょうか……。
その辺も考えておかないといけませんね。




