だいじゅーきゅーわ!【サキュバスはみんなめんどくさい希ガス】
1
それにしても、今朝は災難な目にあった。
朝から妹に逃げられたり、妹に「兄妹性愛」とかって文字を見られるし。
なんでこんな目に合わなきゃならないんですかねぇ……。
「で、お前はなんでついてきたんだ?」
「貴方と契約したサキュバスだからよ。それ以上でもそれ以下でもないでしょ?」
いや、なんかついてくるんだろうなぁ~ってのは薄々感づいていたよ。
でもさ、実際についてこられるとやっぱりうざいよね。
「帰れ」
「そんなこと言っても私は実体を持ってるわけだから、ここまで来た以上帰れないわよ」
ってことはやっぱりあれですか、高校の授業にまで来ちゃう感じですか。
さいですか。
「お前は学校には入れらんないから近くのショッピングモールかなんかで時間つぶしててくれ」
「だめよ。そんなことして、私がいない間にほかのクラスの奴らに襲われたらどうすんの?」
知 っ て た 。
どうすんだよこいつ。
教室に連れて行くわけにはいかないし、だからと言ってほっとくと何するかわかんないし。
「なんか、こう……、ほかの人たちにばれないような方法はないの?アクセサリーになるとかさ」
それを聞くと少し考えたそぶりを見せ、ゆっくり口を開いた。
「あることにはあるわよ」
「おお!じゃあそれを――」
「でもそれはあなたの覚悟がないとおいそれと使うことはできない。それでも使う?」
え?覚悟って何?
そんな危険なもんなの?
「覚悟って、何をするんだよ……?」
「それはね……」
そういうと周りの目を気にしつつ、俺にこっそり耳打ちする。
「――――――」
……嘘だろ?
それを俺にやれと?
「マジで言ってんの?」
「ええ。マジもマジ、大マジよ」
これはねぇ……、覚悟いるわ。
死を覚悟とかじゃないけどさぁ……?おかしいだろ!
「なんでそんな不便な方法しかないんだよ!!もっとネックレスとかいろんなものあっただろ!」
「しょうがないじゃない、ある程度のサイズがないと変身できないんだから」
……これやるんですか?さいですか。
しょ↑うがねぇなぁ!
2
「よう、弘人。どうした、そんな恰好して」
「あ、ああ……。いろいろあってな。えっと……、そ、そう!そろそろハロウィンだろ!?だからだよ!」
「はぁ?ハロウィンは先週終わったばっかだろ。何言ってんだ?」
「あれ?そうだったっけ?」
「そうだよ。まあ、なんかいろいろあるみたいだし、深くは聞かないでおくわ」
そう、なぜ今こんな質問をされたのか。
それは先ほどの話と関係がある。
セレナの野郎、俺に女装しろとかぬかしやがった!服は女物にしかなれないとか!ふざけんな!
一応制服の下に着込んでるだけだから遠目に見たら普通かもしれないけど、近くで見たらただの変態だろ、これ!
「それにしてもお前女装趣味があったなんてな」
え?遠くから見て女装してるって感づいたの?
こわ。ホモかよ。近寄らんとこ。
「いや、これにはかくかくしかじかあってだな……」
「いや、説明しろなんて言わないよ。それは酷ってもんだからな。大丈夫、理解してやれるよ、俺はお前の趣味を」
ファーーーーーーーーー!!!!友人にいらぬ誤解をうけますた!乙ぅ!!!!!!
……、死にたい。
「てか早く授業行こうぜ。あの先生遅刻には厳しいからよ」
「おっ、そうだな」
とりあえず話がそれてよかった。
「あと一ついいか?」
「なんだよ」
「それ、めっちゃいい。ぱっと見普通だから変態的な目で見られることはないと思うぞ」
お疲れ様です!
「って、変態かよ、お前!」
(語録は使って)ないです




