だいじゅーろくわ!【性癖戦争ってなぁに?】
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「俺のシスコンがこの世から消えそうになるってなら参加するけどさ、大体その性癖戦争ってどんなクラスが存在するのさ?」
その質問をするとセレナは待ってました!というようにパチンと指を鳴らし、つらつらと述べた。
「そうね。いつか説明しようと思ってたんだけどこの際だから言っておくわ。貴方を含めて九人の選定者がいるのはさっき言ったわよね?」
俺は肯定の意思を込めて無言でうなずく。
「で、クラスは[近親性愛]、[幼女趣味]、[腐女子]、[半陰陽]、[猟奇愛好]、[被加虐症]、[性別的性癖]、[熟男熟女]、[異種族]の九つのクラスがあるわ。この性癖のクラスに割り当てられた人間をあなたはつぶすのよ」
俺はうーんと頭を悩ませ、
「でもさ、わざわざ全部のクラスの人をつぶす必要はないんじゃないか?もっとこう、穏便に済ます方法はないのかよ」
こういった。
まあ、これは建前で俺が一番を取れれば何にも言うことはないんだけどね。
「穏便に済ませようとすればすべての性癖が消えるわ。それでもいいの?」
「嘘だろ、すべてのクラスが消えるのか……?」
「そう、すべてよ」
言葉に詰まる。ロリコンが消えるならまだしも、シスコンまで消えるとなるとその選択肢は使えないな。
「……まあ、その話はあとで考えるよ。その前に、性戦で戦う時の得意分野を聞かなきゃいけないんじゃなかったのか?」
そういうとセレナは少し考えるそぶりを見せてからそうね、と同意した。
「貴方が何が得意かわからないんだけど、どんな土俵で戦うつもりなの?」
「そうだな……。しいて言うなら麻雀辺りだと思うぞ」
バスケなんて言ったら運動オンチとあたったときにカオスなことになりかねないからな。
「なるほどね。じゃ、『麻雀』にしておくわね」
セレナはくるりと後ろを向き、一言二言呟いて元の方向へ向き直る。
「メモしといたわよ。あと質問は?」
「そうだな……。あ、クラスはわかったけど相手の顔が分からなかったら性戦もくそもないだろ?それはどうするんだ」
「そうね。基本的に選定者は近くによるとサキュバスが感知するからそこは心配しなくていいし、クラスに割り当てられたのはこの付近の人間だけだから遠くに行くこともないはずよ」
なるほど。
「それと、負けた時はどうなるんだ?」
「負けた時はその人間の性戦の参加資格は剥奪。それ以降性戦には参加できないわ」
ほうほう。
あ、あと一つあるわ。
「もう一つあるんだけど、これは積極的に戦いに行ったほうがいいのか?」
「そういうサキュバスもいるけど、基本的に行動理念は選定者の自由よ。私は最後のほうまで手を出さないで、一気にたたくほうが好きなんだけどね」
よし、これで性癖戦争についてはある程度分かったはずだ。
今日襲ってくる輩はいないだろうし、俺もさっき目が覚めたばかりだ。
時計を見ればすでに三時を回っていて、忘れていた眠気がどっと押し寄せてくる。
「じゃあ俺寝るからさ、窓閉めといて」
「まあ私が開けたからね。それぐらいはするわ」
「あとカーテンもついでに」
「分かったわ」
「あ、ついでに床に落ちてる紙、風で飛ばされちゃったみたいだから机の上に戻しといて」
「……わかったわ」
「あ、あと」
「どんだけやらせるつもりなのよ!?」
こうしてセレナと俺の性活は始まった。
……なわけあるか。こんなやつと死んでも性交渉なんてしたくないわ。
いきなり家に上がり込んでわけわかんない戦争押し付けるとか、くそ野郎以外の何物でもないだろ。
実際こんな戦争あったら辞退しますよね、普通




