だいじゅーいちわ!【人によって話し方を変えないといけないのってめんどくさくない?】
1
「ははは、活力も満ち、時も満ちた。いざ汝よ、我を学び舎に送り給え」
「おまえエネルギーの残量で人格が変わるタイプの病だったのかよ」
質わりぃな、おい!
「そんな些細なことはどうでもいい。さあ、急がねば刻限には間に合わぬぞ」
「いや、そうなんだけどさぁ……」
お前をこのまんま小学校に連れていくとか、友達に白い目で見られるんじゃないのか?
まあ、今更なんですけどね!
「わーったよ。ほら、行くぞ」
「では、よろしく頼もう」
なんだこいつ。朝食食ってからやけに上から目線じゃんか。イライラすんな。
……でもまあ子供ってことで大目に見るよ、大人だからな!
「ぐえ」
「おっと、すまん。ランドセル掴んだままだった」
「なんでつかんだのぉ!」
お、戻った。このまま学校までこの状態でいてほしいね。
「じゃあ改めて、出発すんぞ」
「さあ、行こうではないか!」
おい戻んな。
2
「で、お前の小学校どこだよ」
「遠き地の果てにある理想郷の聖堂にある『グレテニア・ソラス』が我が学び舎だ」
……。いちいちめんどくせぇな、こいつ。今すぐこいつの喉笛を掻っ捌いてやろうか。
「真面目に教えないなら俺はお前を今すぐ幼稚園に連れて行くぞ」
「黒崎第三小学校ですハイ」
「ああ、あそこな。おけ」
なんだ、このモードでも正直に答える時は答えるじゃんか。
「じゃあこっちから行った方が近いぞ」
「ふ、ふん。何も知らんのだな。愚民よ。まあ、それも仕方のないことだろうが」
「は?なんて言った?」
「え、いや。だから何も知らないんだなって」
「え?何?」
コイツノイッテルコトヨクワカラナイデスハイ。
「……こっちの道の方が近道ですよ」
そう言って右を静かに指差す。
「ふーん、そうなんだ。じゃあそっちから行くか」
なんだかこいつのことコントロールする方法わかってきた気がするぞ。
「で、お前学校でもいつもそんなんなのか?」
「はっ、そんな訳なかろう。いつもそうであれば我の社会的地位はとっくに地の底に落ちている」
いや、俺の中ではすでにあなたの社会的地位は地の底に落ちているんですが。
「ほう。例えばどんな感じだ?」
「そうだな」
そこで梨花は言葉を区切るとすぅ、と息を吸い、こういった。
「あら、田中さん、おはようございます。かなりお早い登校ですね。今朝はしっかり睡眠をとることができましたか?寝すぎるのは体に毒と言いますが、寝なさすぎるのも毒ですよ。お体には十分気をつけてくださいね」
……なんだこいつ。本当に多重人格者なんじゃないか?
一回病院に連れて行ったほうがいいかもしれない。
「おおぅ、なんかイメージと違ったな。てっきり『わー!蝶々だー!』とか言って校庭を駆けまわってるもんだと思ったわ」
「我がそんなはしたないことをするとでも思ったか。全く、見た目だけじゃなく考え方も腐りきっているようだな」
「よし、お前ひとりで学校行けよ。途中で俺とか俺が襲っても助けてやらんからな」
「ああ!今のなし、今のなしでお願いします!」
なんかもういろんな人格ごちゃごちゃですごいことなってんじゃん。自分でコントロールしろよ。
「しゃーねぇな。一回だけだかんな。ほら、急ぐぞ」
「私を置いてかないくらいのスピードで走ってくださいね?」
「おう」
このコンビセリフが多くなるから書きずらい




