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だいじゅーわ!【(厨二病が全国的に流行っている訳)ないです】

1


 目覚ましが鳴り響き、朝の到来を俺に知らせてくる。

 俺はゆっくりと体を起こして一つ伸びをし、目覚ましを止める。


「ん〜。まだ六時か。今日は学校ないしもうちょっと寝てもいいかな」


 季節は冬。

 朝からエアコンがついているわけではないので、俺の部屋はかなり冷え込んでいる。

 先ほどまで眠っていた羽毛ぶとんへと入り込み、再び睡魔に身をまかせる。

 瞬間、突如部屋の外から奏でられるフライパンとおたまのハーモニー。

 いつの時代の起こし方だよ。


「いや、俺は負けないからな。おやすみ」


 なおも断続的に響く金属音。


『あぁ〜ん、もう!うるさい!』


 ついに俺より先に妹がキレた。すごい扉の外でドタドタやってる。『フライパン離して!起こすの!』とか『なら私に迷惑かかんないとこでやんなさいよ!』とか言ってる。

 こわ、近寄らんとこ。


「改めておやすみ」


 先ほどの金属音より、こちらの喧騒の方がまだ幾分マシだ。

 本日何度目かもう分かんないけど、再び羽毛布団にくるまり目を瞑る。

 お、静かになった。これで心地よく眠れるな。


「おい、闇の眷属よ!目を覚ませ!貴様の覚醒により、世界に終焉が訪れるのだ!さすればこの星も我が手に落ち、我が支配をするであろう!」


 わー、すごーい。ねむってからこんなにはやくゆめをみられるんだー。

 って、んなわけねぇだろ!


「お前誰だよ!」


「ふっ、昨日さくじつは世話になった。昨日名乗った梨花という名は表世界での名に過ぎない。真名まなは……そうだな。仮にイデリアス・バイアハシュルツとでも名乗っておこう」


 『仮に』に随分と本気の名前つけたな。


「厨二病かよ心がいてぇ。数年前を見ているようで悲しいよ、僕は」


「お、おい!そんな哀れむような目で我を見るな!それにお前、数年前に我を模倣しているとは、不敬にも程があるぞ!」


「はいはい不敬不敬。ってかお前昨日会った時はそんな話し方してなかったろ」


「うう〜ん……、もうだめぇ。そういうのいいからご飯食べに降りようよぉ」


 なんだこいつ、急に態度が豹変したぞ?二重人格とかだったらマジこの子怖いんだけど。

 そう思いつつ幼女を眺めていると、きゅるるー……とお腹が鳴った。もちろん幼女の、である。


「……飯食いに行くか」


「早くしよぉ〜よぉ。お腹空いちゃったよぉ」


 なんかなぁ。このモード(?)の時は可愛い生き物なんだけど、厨二病モード(?)の時は見てて痛いんだよなぁ。

 さっきも言ったように、俺数年前にこの病を患って「ダークインフェルノ!目覚めよ、(自主規制)の魂よ!」とか言ってたから、なんとなく自分を見ているようで心が痛い。

 まあその辺も含めて今日学校に送るときに聞いてあげるか。

 ん?休講だろ?なら幼女の安全を確保するのはロリコン、もとい紳士の務めじゃないか。


「今日はお前を小学校まで送ってやるからな」


「えへへぇ、楽しみぃ」


 そう言いつつ俺はリビングの扉を開け、朝食の席に着いた。

誰にでも黒歴史ってあるよね

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