急転直下
死者の国の国境から軍が立ち去る。
長期の出陣になったため、1度国に帰るという意見が多数を占めたためだ。
装備や兵糧の新調、兵の疲労が主な理由である。
聖騎士団が大失態をした聖王国に引き留める力はなく、聖王国のみが残って監視をする事になった。
聖戦で聖王国の実績が少ないまま帰国する事を本国が許さなかったのだ。
世界は混沌としていた。
ランデルが意識を取り戻して2日がたった。
まだ、布団から動けません。
陶晴賢さん達が戻ってきた。
軍勢は5000人を超えていると津田さんから報告があった。
布団のうえで陶さんを迎える。
「お疲れ様でした。どうでしたか?」
「なに、某にかかれば、どうという事はありませぬ。それよりも体調を崩されたとか。ゆっくりとお休みくだされ。ゆっくりと。」
陶晴賢の言葉と共に林美作守の体から刀が生える。
「ランデル様ではこの乱世は乗り切れぬでしょう。どこかで命を落とす前に、安全な場所で余生をお過ごしくだされ。
某が安全は保証いたしましょう。」
桜井さんに抱えられて逃げ出す。
林さんを始め多くの侍が失われるのがわかる。
織田さんが馬車を連れてきた。
「後は頼みました。」
ニコリと笑い、桜井さんが敵に向かう。
待ってと泣き叫ぶランデルは気絶させられ逃げ出した。
「逃がしたか。南に配した兵も突破された。
クソッ。」
陶晴賢の前にはズタズタに斬られた桜井霞之助の死体がある。
「こやつに多くが斬られた。それさえなければ、ランデル様を押込たものを。」
桜井により追っ手が足止めされ、斬られた。
将である侍にも多数の死者が出た。
「ランデル様を君側の奸より救い、後はのんびりと過ごしてもらうはずであったが。」
陶晴賢の中では己が全てを取り仕切り、ランデルは宮殿内で大人しく過ごす。それが最善という事になっていた。織田や林などはランデルに取り入る君側の奸なのだ。
「江良房栄を討ち取りました。」
弘中隆包が静かに現れる。
「房栄に山崎や木下も斬られました。将を失い過ぎましたな。」
淡々と話す弘中。
「策を言え。」
「私達は北部を制圧します。ランデル様が放棄した東部に軍を派遣しましょう。北部、東部を支配下に置き、地盤を固めるのです。」
「強行軍でのランデル様の奪還はできぬか?」
「私達だけならば、可能でしょう。
しかし、兵はついて来れないでしょうな。
その状態で中央や西部と戦になれば私達の負けとなります。」
「仕方なしか。他国はいつ動く?」
「近隣に介入できる余裕のある国はありません。」
「よし、やれ!」
陶軍は動き出した。
「房栄、何故私に降らなかったのです。」
かつての友を偲ぶ。
「私達を具現化し放置する。
将の声を聞かない。
日頃の行いは子供そのもの。
戦を嫌がる。
ランデル様では国が滅びる事は、貴方ならわかっていたはずです。」
目を閉じて瞼の友に聞く。
「あなたには私に見えないランデル様が見えていたのですか?」
その問いに答える友はすでにいなかった。
ランデルを連れて逃げる事ができたのは織田信勝、津田信澄だけであった。
ただ、中馬大蔵だけが敵中から戻ってきた。多くの首を持って。
「死に損ねた。」
伏兵や追撃を避けるため、馬車は中央ではなく西部を目指して行った。
陶晴賢としては大内義隆を討ったのは、討たなければ大内家が滅んだからでした。
大内義隆は軍事・内政を放棄し、文化・芸能に没頭して重税をかけていました。
陶晴賢の謀反の噂が出ても軍事行動をしていません。陶晴賢としては人間関係や権力闘争も絡んで、自分と大内家のために謀反を起こしたと作者は考えています。
今回の謀反はランデルを討つ状態になる前に、陶が家中を掌握し、ランデルには戦いと関係ない生活をと考えていたからです。
初めから「ランデルは無能だ」と見下している事は陶自身気付いていません。
ただ、自分と意見が違うのは許せないという陶の独善もあり、「自分と意見が違うのは君側の奸だから」と武力を使っての軟禁を計画したわけです。
文章力が欲しい。




