降臨
ランデルは突然意識を失った。
「小さき者よ。貴様がランデルか。」
目の前に凄い人がいる。
いや、姿は見えないんだけど何か凄い。
「貴様の力、借りるぞ。」
「だめだよ。ちゃんと説明しないと。
今回は特別に会わせたんだから。」
いつもの神様も現れた。
「兄者、小さき者に説明など。」
「彼は『我らの子』ではない。」
神様が何かの力を使ったのか、体格のしっかりした金髪の青年が現れた。
いつもの神様から説明が入る。
青年は「法と秩序の神様」。地上に配下を派遣したいけど、地上側に出口が作れない。地上側で儀式をしているけど失敗したらしい。
それで自分の能力で誰かを具現化して、そこに送りたいという事らしい。
そんな事できるの?
「できるよ。君は10日程寝込むけど。
無理な能力の使い方をするし、神の力が体に入っちゃうからね。」
え?
「構うまい。死ぬわけではない。秩序に貢献できるのだ。」
ペシッ!
あっ、神様が突っ込んだ。説教した。
珍しい。
法と秩序の神様が不貞腐れてる。
「寝込んでる間はガチャは使えないから、補償はするよ。それとコイツが力を使うから、体に魔力の通り道が出来るよ。練習次第で魔法が使えるようになるはず。」
ま、魔法ですか。
「それとコイツからも何かお礼をさせるから。
時間がないから具現化するね。
まっ、時間は止めてるんだけどね。」
具現化
天公将軍「張角」
神による能力強化のため、現世具現化時間30分。
光りの中から現れたのは道服を着た痩せこけたオッサンだった。
「神仙に見捨てられた私が、神の力で現世に立つとはな。ゴホッ、ゴホッ!」
咳き込みながらも符をばら蒔く。
符に触れた人の傷は癒え、失われた部位が復元される。
「私の符では病を癒す事しかできなかったのに。」
悲しみをたたえ、かつてに思いを馳せる。
儀式を行った初老の副団長も息を吹き返す。
「伝言があります。『儀式は失敗であった。だが、貴様の声は我に届いた。その信仰、見事である。』だそうです。」
目覚めてすぐにそんな声をかけられる。
内容を理解して泣きじゃくる。
聞いていた若い聖騎士達も声をあげて泣く。
そこを幽鬼のようにフラリとすり抜け、張角は歩を進める。いや、その視線は中空をさ迷い、意識はどこにたゆたうか。符を蒔き呟く。
「万物はあるべき姿に。」
符によるものか、ドラゴンゾンビの体が崩れ始める。
「生物は死に、土に還る。木は土より生じ、値を張る。木剋土。全ては道理に。」
ドラゴンゾンビがいた所には大木が残るのみであった。
瞬く間に数十体のドラゴンゾンビが大木に変わった。
「地に陰気が充ちている。これを導かね、ゴホッ、ゴホッ。」
符により地は森となり、泉を湛える。
そこで、張角の体は光の粒となる。
「至らない。だからこそ私か。」
残るは美しき大地。豊穣の地。清き泉。
皮肉な事に蒼天の空が照らしていた。




