魔獣の王VS狂犬
燃える炎は蛇の舌のようにチロチロと揺らぎ、闇夜に幻想的な空間を作り出す。
大斧と十文字槍がぶつかり、火花が飛び交う。
二人は舞うように位置を入れ替え、そして再び武器を振るう。
痺れるおのが手を見てニヤリとわらう。
目は爛々と輝き、鼻は戦場の空気を欲する。
「強いな。」
気に入った。
「俺を楽しませろ。できなければ死ね。死ね。死ね。」
どちらが獣なのか。
神速の突きがライオニアスを襲う。
大斧を盾にするが全ては防げずに肉を抉られる。
ライオニアスが大斧を振る。
森長可はかわす。槍でうける。槍がたわむ。
力ではライオニアスが勝り、速さでは森長可が勝る。
呪われた大斧が怨念の唸りを叫び、人間無骨の鋭さは大気を裂く。
何度目の打ち合いか。
槍の一部が折れて片鎌槍になる。
しかし大斧も軋みをあげている。
森長可が大地を踏みしめ列迫の突きを放つ。ライオニアスは大斧を盾にするのではなく、武器破壊を狙って大斧を叩きつけた。
夜空の星とみまごうばかりに互いの武器が砕け散る。
しかし、互いに動かず。
いや、互いに驚愕の表情を浮かべていた。
それは武器への信頼か、相手の技量への驚愕か。
ライオニアスは咆哮し、森長可は距離を取る。
「いいぞ!いいぞ!いいぞ!いいぞ!」
腰の太刀を抜き、笑う。
「さぁ、死舞いぞ。」
ライオニアスに組み付き、予定通りに止められた太刀を気にせず隠していた脇差しを心臓に突き刺す。
動きが止まった隙をつき、首をはね、いや首の途中で止まってしまった。
「くそっ。」
ライオニアスが森長可の胴を抱き締め、首を絞める。
時は流れる。
ライオニアスの首が飛んだ。
しかし、森長可の意識は戻ることはなかった。




