遅れてきたもの
すでに日付は変わっていた。
土塁を水浸しとしライオニアスの進む邪魔をする。
油で池を作り、ライオニアスが入ると同時に火矢で着火する。
燃え盛る炎はライオニアスの体を舐め、焼け焦がしていく。
咆哮が響き渡る。
また、矢と魔法が放たれる。
すでにライオニアス以外の魔物はいない。
国王は傍らの第3王子アルバを見る。
20歳手前の武人肌の王子だ。
2人共死ぬわけにはいかない。しかし、アルバには謀略、計略、内政は無理だ。
戦の勘だけはいい。
「アルバじゃ小僧の全てを手にしようとして、足元をすくわれるな。」
軍を率いて放浪している第4王子ターナーは調整型だ。安定した世の中ならば。
「まだまだ死ねねぇが、ここを逃げるわけにもいかねぇ。」
戦況はよくない。
「子供の教育に失敗したかねぇ。」
王の場違いな悩みは尽きなかった。
土煙があがる。
燃え残った炎が篝火のように闇夜を照らす。
早馬でも代え馬を使って2日の距離。
それを1日で駆け抜けた。
ドオッと音をたて崩れ落ちる黒馬。
「見事だ。百段。」
愛馬を優しく撫でる。
「森勝蔵長可だ!!相手をしてやる!!!」
空気を震わせる大喝。
そして挑発のためにライオニアスに魔法で礫を放つ。
距離をものともせず正確にライオニアスの後頭部を射つ。
「グオォォォ!!」
ライオニアスが敵を認識した。
城壁からは闇夜でライオニアス以外が見えていなかった。
大声が聞こえ、ライオニアスの動きが止まった。
そして大きく跳躍して姿が見えなくなった。
「助かったのか?」
腰を抜かして倒れる人々。
もはや戦える人はいなかった。




