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終わり、始まり
目が覚めると竜がいた。
何を言っているのかわからないが、
「目が覚めたか。ヒトのコよ。」
その声にビクリとする。
声が出ない。身体が動かない。
これが竜。
「ふむ。このテイドで動けぬか。
あのオトコたちがマモルべきオトコとは思えぬ。」
わからない。
自分は何で寝ていた?魔物に襲われて、兄さんが死んで。
「みんなは!?」
声が出た。
「ワラワに挑みシんだ。おヌシをマモルためにな。」
みんなが竜に挑む?戦えない村人たちが?
周りを見渡し、自分が侍たちを具現化していた事を思い出した。
「ミゴトであった。褒美をとらす。」
目の前に腰袋が落ちる。
さらに風がおこる。
旋風が収まると掌より大きい漆黒の鱗が小高く積まれていた。
「そのフクロは1000年程前にニンゲンどもが献上したモノだ。ナカには財を入れた。」
鱗を一瞥した竜は満足そうに言う。
「このウロコはオトコたちが剥いだモノだ。
ここまでキズをおうたは久方ぞ。」
竜がフワリと浮く。
不思議な事に風も衝撃もない。
「ワラワは『イクサノヒメギミ』と謳われしモノ。
縁あればマタ会おう。」
そして、僕は、一人に、なった。




