本当の絶望
現れたオークキングは苛つきながらも、怯えていた。
「マチヲヨコドリサレ、ココデシヌワケニハイカヌ。」
強者の弱気な言葉に違和感を覚える。
その時、村人がいた場所にソラがオちてきた。
「強き者よ、ワラワと遊べ。
何ゆえ逃げる。」
それは黒き竜であった。
絶望が舞い降りた。
「おや、強き者がタクサンおるぞ。
ワラワと遊んでたもれ。
ほれ、か弱きオナゴの頼みぞ。
ワラワと遊べ。」
西郷隆盛はランデルを侍たちに預け、竜に組み付く。
「若を逃がせ!他の者は盾になれ!死に場所ぞ」
竜は興味なさそうにオークキングの首をはね、嬉しそうに吼える。
「その若者を守る?ワラワを楽しまよ。この200年タイクツであった。ワラワが満足すれば、この若者は助けよう。」
死闘が始まる。
槍は折れ、矢は尽き、刀も砕けた。
固有スキル「敬天愛人」の効果もつき、
西郷隆盛は腕を組んで立っていた。
生きているのは西郷隆盛とランデルだけだ。
黒き竜と闘って死んだもの、ランデルの盾になって死んだもの。
逃げ出した侍は一人もいない。
「よか二才から、死んでしもうた。」
西郷隆盛の呟きが溢れる。
「おいも、もう動けもはん。おいの首で終わりにしもはんか。」
「ワラワは首などに興味はない。
だが楽しめた。オヌシ達がマモル若者はナニモノぞ。」
土煙の向こうに黒き竜がいた。
いくつかの傷があるが、嬉しそうだ。
「ランデルと申す。彼は」
「カレは?」
返事はなく、仁王立ちのまま息絶えた漢がいた。
「ワラワを楽しませたオトコは何故すぐにイッテしまうのか。」
悲しそうな竜の声が空にとけた。




