人という生き物
東の空が燃えていた。
シルクネージュの方角だ。
「シルクネージュが落ちたの?」
老婦人が呟く。
シルクネージュはここから2日もかからない。
敵の規模、敵の目的はわかっていない。
近づくのは無理だ。
その時、西から鞍をつけた馬がくる。
騎士が村に乗ってきた馬だ。
「村が、落ちた、のね。」
馬は高い。簡単に逃がすものではない。
逃がさざる得ない事態か、馬が逃げ出す状況。
考えるまでもない。
「ランデルが悪い。」
そんな声があがる。
「こいつらを呼び出すのを俺は見たぞ。
村にいる時に呼び出していれば、こんな目に合わなくてすんだんだ。」
「夫を返して」
声が大きくなる。
「それにランデルの能力だっていうのなら、こいつらに働かせれば俺たちは何もしないで遊んで暮らせる!!」
女子供しかいない。
諌める大人集や長老集は村に残った。
ランデルを責める声から、欲望の声が支配的になっていく。
「ランデルを奴隷にすれば俺達は貴族みたいな生活ができるぞ!?」
「私はドレスを着て、毎日パンを食べるの。」
「やめて!!ランデルは」
それを止めようとしたランデルの家族は殴られる。
侍たちがすぐに家族を保護する。
村人達が騒ぐ。
「なんだ。俺達に逆らうのか?ランデルの能力のくせに。」「俺達には手を出せないだろう!!」
彼らの中ではランデルはすでに奴隷であり、その能力である侍たちは自分たちに従うべき存在になっていた。
「これでは大和の一向一揆のやからと変わらぬ。」
「獣よな。」
侍たちが吐き捨てる。
もはや一触即発の状態であった。




