もののふ
オーガキングが咆哮をあげる。
『ウオォォー!』
その咆哮に合わせ、オーガ達が進軍する。
もはや、村人たちに抵抗の気力はない。
騎士の3人はすぐに肉片へと変わる。
誰かが悲鳴を上げ逃げ出した。
それが合図だったかの様に皆が逃げ出す。
蹂躙の始まりだった。
もはや戦いではなく、いや、一人だけ闘っていた。
すでに左腕はもげ、槍も折れ、すでに太刀と脇差しのみである。
突き刺した脇差しを引き抜くとオーガナイトが崩れ落ちる。
「くそっ!!」
脇差しは途中で折れていた。
オーガナイトが持っていた剣を拾うと、オーガジェネラルに斬りかかる。
だが、横合いからハルバードの鋭い一撃がくる。
剣を盾にするが剣は砕け、脇腹の肉をえぐる。
「ここまでか。」
残りはオーガキングとオーガジェネラル3体。
後は無数のオーガども。
山県源内は低く構える。
オーガジェネラル3体はそれぞれの得物を振りかぶる。
源内が走り出す。
あえて、攻撃をさけない。
すぐに源内は死にいたる。
だが死と引き換えに一撃を降り下ろす。
「ミゴトダ。コレヨリワレハ、『アッキノオウ』ヲナノル。」
そこには右目に傷を追ったオーガキングと、満足そうな笑みを浮かべた山県源内の亡骸があった。