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死闘の始まり
「悪鬼の王よ。貴様を討てばこの戦は終わりか?」
山県源内が問いかける。
「コノタタカイハ、ヒトガワレラノセイチヲケガシタタメ。
ソノホウフクノタメ。
ユエニゴブリンノオウ、オークノオウモタタカッテイル。
ヒトガホロブカ、ワレラガホロブカ。」
オーガキングが答える。
この戦いは高位冒険者が国の依頼で山奥の遺跡から古代の遺物を盗掘した事から始まっていた。
もっとも、盗み出した冒険者は報酬を受け取った後に毒殺されていたが。
遺物を受け取った貴族も辺境を出る際に今回の魔物の進軍に巻き込まれて死んでいた。
魔物は遺物には興味がなく、遺跡こそが聖域だった。
そこで歴代のキング達の盟約が結ばれていたのだから。
人はそれを知る事は永遠にない。
山県源内は目を閉じ、息を吐く。
「悪鬼の王よ、互いに死力を尽くそう。
後はただ死すのみ。」