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敵のすがた
「なせランデルを知っている!?」
ハイネンは時と場所を忘れ、男の胸ぐらを掴む。
「彼は我が主人也。
無事に逃げられただろうか?」
我が子とこの男の繋がりがわからない。
だが、心配をしている事はわかった。
胸ぐらを放しながら答える。
「子供たちは逃がした。
女子供だけだが逃げることはできるはずだ。
そのために我々が残った。」
「ならば大丈夫であろう。
我の仲間が一人、影ながらの護衛についた。
小鬼程度には遅れはとらぬ。
後は我らが早々に追い付くのみ。」
逃がした妻子に護衛がついたと聞き、力が抜ける。
その時、絶望を告げる咆哮がひびく。
『マズハミゴト。オウタルワシヲヒキダシタノダ。
ホコレ。』
魔物がしゃべった!?
『ダガ、オウトタタカウマエニ、キシトタタカウベキダロウ。』
オーガキングの合図と共に見たこともないオーガが8体ででてきた。
誰かが叫ぶ
「オーガナイトにオーガジェネラル!!」
絶望が形をとるのを初めて見てしまった。
村人の多くが弓や槍を落とす。
騎士もがへたりこむ。
ただ、生臭い風が吹いていた。