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ガチャで生きてく  作者: 眠る猿
第4章 ???
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誘引戦

最も北上している魔物と対峙しているのはアンコモン「山口教継」コモン「山口教吉」率いる500である。部隊の前には即席の柵も作ってある。

これより北には備えとして2つの部隊がいるだけだ。


教吉は20歳の血気盛んな荒武者である。

「滅ぼしても構わんのだろ?」

と言い出す始末である。

「・・。」

馬上で腕を組み、沈黙を保つのが父・教継である。

彼も武勇に優れた将である。自軍より多い敵と戦ったのは1度や2度ではない。


魔物達が迫る。矢を放ち迎撃する。

矢を受け、倒れ、転がる魔物達。

しかし、それでも群れは止まらない。

柵に取り付く魔物達だが、そこは柵の間から槍や剣で突かれて討たれていく。


コモン「水越助十郎」が雄叫びをあげて飛び出す。

槍を振り回し敵を追い払う。しかし魔物も後続に押されて逃げられない。このままでは敵に押し潰される。

そこにコモン「萩原助十郎」「中島又二郎」「祖父江久介」「横江孫八」が駆け付けて敵を討つ。

さらに馬影が走る。

「若!!」

山口教吉が馬を走らせて槍を振るう。

目指すはオークナイト。

振りかぶる大剣を降り下ろさせずに槍で穿つ。

傭兵達は未だに柵に押し寄せる魔物を槍で迎撃している。

ピィィィー!!

合図の鏑矢が鳴り響く。

「次の柵まで退く!!」

教継の号令が戦場に伝わる。

傭兵達は一斉に逃げ出す。


だが、具現化されて望外の力を得た教吉は退かない。源平の英傑や春秋戦国・三国志の英雄。彼らに並ぶ好機と考えている。若さゆえの暴走であった。

気付いた侍達が追い付く。

「付いてまいれ!」

だが、教吉は馬を走らせる。

後方の教継は将としての責任感で踏みとどまる。

「後方の隊に将の派遣を要請せよ。」

合図の狼煙があがる。

己は大きな和弓に矢をつがえ、息子に向かう大型の魔物を狙う。


魔物達は教吉達を狙うもの、逃げる傭兵達を追うものと別れた。魔物が向かってくる以上指揮を放棄はできない。教継も馬を走らせて柵まで退く。

「各々迎撃せよ。」

教継は駆け出したくなる己を抑えるのに必死であった。


山口教吉はすでに馬を潰して乱戦に飛び込んでいた。何体かの隊長格の魔物は仕留めたが敵は退く様子はない。すでに槍や長刀は折れ、刀で戦わざるえない。

「もはやこれまで。」

誰かが呟く。


水越、横江が血路を開く。荻原、中島が殿となって踏みとどまる。祖父江がなんとか山口教吉を逃がす。

「若は逃れたか。」

水越、横江が引き返して荻原、中島と合流する。

いや、中島はすでに事切れていた。

魔物達は途切れる事なく襲い掛かってくる。

死はそこまで迫っていた。

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