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男の決意
母さんが泣いている。
兄さん達も泣いている。
父さんは笑顔を作り、一人一人を抱き締める。
自分が自分でないような感覚。
自分がここにいないような感覚。
父さんに抱き締められた。
「ランデル、お前は俺の期待の息子だ。
母さんのいう事を聞くんだぞ。」
そして、また母さんを抱き締める。
いつの間にか大泣きしていた。
大泣きしていたランデルが眠った。
あれだけ泣いたのだ、疲れたのだろう。
あいつは俺の子とは思えないほど賢い。
飲み会の度にランデルの話題が出た。
「村の期待」「神様の贈り物」
そんな我が子の年相応の姿に心がなごむ。
「ジョン、家族を頼むぞ。」
そう呟き、集合場所に向かう。
そこには父ではなく、戦士の顔をした男がいた。