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動き出す世界
出発の朝、村が騒がしくなる。
やっぱり、出発前は賑わうのか。
父さんと母さんに連れられて広場に向かう。
そこには金属鎧を着た3人の騎士がいた。
「告げる!!
今より10日前に北の開拓村が全滅した。
森より魔物の群れが押し寄せてきたそうだ!!
早馬の知らせを受け、騎士団と冒険者ギルドは先遣隊を派遣した。
しかし!!先遣隊は壊滅し、物見だけが帰ってきた!!
その報告によれば魔物は地平を被うほど!!
オーガやサイクロプス、ゴブリンキングもいたらしい。
そして!!各開拓村とシルクネージュに進軍している!!」
村人たちが一斉に騒ぎ出す。
「女子供はシルクネージュに向かえ!!シルクネージュから別の街へ逃されるはずだ。
シルクネージュは籠城戦を行う!!」
逃げる。そうだ、逃げないと!!
「男たちは準備をしろ!!!
女子供を逃がす盾になるぞ!!!
我々が先頭に立ち、真っ先に壁になる。
戦え!!妻を愛するなら!!!
子供を愛するなら!!!!」
え?
「防御陣を敷く。
別れを済ませろ。」
その声は、なんだか遠くに聞こえた。