表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピアスorソード  作者: 焔夢
5/7

不思議な酒場

「これは先の戦で姫様に馬と一緒に謙譲した。ものだ」

老兵士は食料である果物を切って、女兵士に差し出す。

「刃物とはこういう風に使うものだ」

私は感心する。と、同時に驚いた。あぁ、この老兵士は正しいのだな。とても寂しそうな目をしている。

「あの馬を返してもらいたい」

「何故だ?」

私は問う。老兵士はいきなり黙り混み、無言で酒場の方へ移動する。私達2人は黙って着いていく。

愛馬カシードの事が気掛かりだが…。

兵士は入り口に立って、ずっと夜空を見つめている。そして、私の正面にドカっと座り、こう言いはなった。

「私の大切な娘が人恋しくて泣いているのだ。あの馬さえあれば、そんな剣なども、持たなくて良くなる」

そのセリフを聞いた老兵士は差し出した果物を引っ込めた。

「それが戦を潜り抜け者の態度か?」

兵士はふざけて、落ちた葉巻をくわえなおすと、

「なんだお前ら、戦の道具でアップルパイでも作ろうっていうのか?」

ふざけながらの兵士は入り口に戻ろうとする。

「違うわよ!この剣と、私の愛馬は絶対に守りぬく」

それを笑い飛ばす兵士。

ここは酒場、私達の声は回りに全く聞こえない。

の、はず…。

後ろに陣取っているパーティの1団の騒音が気になるが、ここは取り敢えずウェイターに何か頼むとするか…。

老兵士は諸手を挙げて、一言。

「ウォーターと、この店の一押しを頼む」

「かしこまりました」

老兵士はかしこまると、不思議そうな目線で私のサーベルを覗き込む。

私は一瞬たじろく。老兵士と視線が合う。

「君は剣に名前を付けたことがあるのかい?」

「…いいえ、この剣は昔、戦場からくすねて来たものです」

「ハハハっそれは驚き!まさか1国を統べる女王がそんなことを老い先短い私に教えてくれるとは、今更だが、フルネームは?」

私は迷った挙げ句、耳打ちをした。

「…アーメン・ストルゥーパ・リックル…と申します」

老兵士はワインを1口飲むと、ニコリと笑った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ