光の園
剣の切っ先を例えるならば、解けない謎めいた呪文の様ものだろうと昔、私の戦友が言っていたような気がする。
私の家はピラミッドの寺院が近くにある古びた大きなお家。
馬を駆るのが好きな私は、愛馬にカシードと名付けている。その理由は魚のように滑らかに戦場を潜り抜けるため、親から貰った大切な名前だ。
私はお転婆でどうしようも無い、女兵士だ。
「やぁ、お姫様」
「何故、かってに部屋に部屋に入ってくるの?」
私は今日片付けた書類を整理すると、アクビをする。
老兵士はどうでもよさそうにカシードを装備品を見て、葉巻の煙を潜らせると、方耳を引っ張る。
「まったく愛馬に向かって、何をお望みなの?」
若い兵士は首を竦めてすまなそうな顔をする。
老兵士はそれを見て、笑い出す。
「久しぶりだなぁ、昨日は世話になった」
私は少しだけ驚く。この老兵士に会ったことがあるのを思い出す。
兵士が前へ進み出て、呟くように話す。
「昨日は悪かったよ。酒の席でふざけて、お前のサーベルを取り上げてしまったからなぁ…?」
「私の話はどうでも良いわ」
私はそう言うと、足早に部屋を出ていこうとする。
兵士は慌てる。
「ちょ、ちょっと待ってくれ、どうして何時もお前は自分1人で物事を決めるのだ?先の戦、お前の城に良く似た楼閣だったのに」
私は自慢気に相方のカシードに笑顔を見せる。
「馬が居なくても攻められる戦だった…だが、しかし私の部下に多大なる迷惑をかけてしまったわね」
老兵士が右手に剣、左手に食料を持ち、立っている。