廃校舎
廃校舎
多目的ホール
歓楽街 九蘭を少し離れると、今ではすたれてしまった商店街がある。それをさらに奥に進むと古ぼけた神社があり、その裏手にはかつて小学生が通っていたであろう廃校になった小学校があった
その廃校になった校舎内の多目的ホールとして使われていた場所には、小学生が書いたであろう絵が壁に張られていたり、剥がれ落ちていたりしていた。机やイスは乱雑に置かれ廃墟と呼ぶにふさわしい場所であった
そこに女と男を抱えた長髪の女が入ってきた
「どうにか撒いたかしら」
女は安堵すると近くに横たわっていたイスを起こし座った
その間に長髪の女は髪の毛で抱えていた男を近くの床に下ろした
「危うくやられる所だったわ。カオリちゃんありがとう。まずいわ!さっきみたいに敬語のほうがよかったかしら幹部様」
長髪の女は笑いながらいった
カオリは見た目20代のように大人っぽく見えるがまだ16歳である
「その呼び方やめてください。本来敬語を使うべきなのは年下である私ですから、サナエさんはどこかお怪我ないですか?」
サナエは大人っぽいいでたちだがまだ24歳である
「お気遣いありがとう。でもね。一発もあたってないのよ。最後もらいそうになったけど、もしあたってたらそこのお兄さんみたいに伸びてたでしょうね」
サナエは最後に男を指差した
「あいつなにものですかね?へんなハンマーだったけどこの人殴られて傷一つない。それなのにまだ気絶して起きてこないですよね」
「それが彼の能力なんじゃない?それもあなたたち幹部みたいなレアな能力。推察するに一撃で相手を気絶させるハンマーと、何かしら避けるのに特化した感知能力。あと私が驚いたのがハンマーと自分の位置を変える能力。二つ目は確証はないけれど確実に二つ以上の能力を持っているわ」
サナエの分析は以外と的確であった
カオリは少し考え込むと話し出した
「相手を一撃で気絶させるハンマー。それも長時間気絶させるハンマーだとよりやっかいね。二つ目以降の能力があると推察すると、一撃ももらわずに奴の回避能力を看破しなければならない」
「まぁそういうことね。目的もどうやら私たちにあるみたいだし」
「かなり厄介な相手だけど私のサイレントワルツがあればどうにかなるわ。あとは少し人がいるわね」
カオリは携帯電話を取り出すと誰かに連絡した
「人?何に使うの?」
「おそらくここがばれるのも時間の問題よ。それまでに奴の能力の情報を引き出すのよ」
電話がつながるとカオリはしばらくの間話し込んでいた
話がまとまるとカオリは電話を切った
「誰に電話したの?」
「ジンよ。誰かここの近くにいるかって聞いたらジョウに電話してみるって」
「ジョウ!大丈夫なのあんな奴に頼んで!」
サナエは名前を聞いて驚いていた
その驚き方だけでもジョウがろくな奴でないと感じとれた
「とりあえずあたしはもう一度街の方にいくわ。その人がもし起きたら電話ください」
そう言ってカオリは廃校舎をでると再び九蘭に向かった