最終話 また昔の様に…
時刻は正午を回っていた。
オレは駅で逢瀬を待つ。
「ごめ〜ん!遅れたちゃった〜」
「別に気にして無いから」
そう言って駅へと向かう。
ある決意を胸に…。
駅から30分、葛西町に着いた。
まだ開発途中で、高層マンションの直ぐ近くには
まだ農村地帯が広がっている。
そこの一角にある町営墓地。
今日の目的地だ。
そして、一つの墓石にたどり着く。
神楽家之墓。
「ここに恵美が眠っている」
「…うん」
逢瀬はオレが何がしたいか分からないという感じで
少し困惑している。
線香をあげ、手を合わせる。
そして、決意を恵美へ…。
「オレはお前を忘れようとしてこの街を出て行った。
でもお前へ思いを忘れる事は出来なかった…」
そう言いながら、昔の思い出が蘇る。
「でも、夢とか思い出ばかりに縛られてたら前に進めない。だから…」
ふっと目頭が熱くなり、言葉に詰まる。でも、これが言えないと前進できない。
「だから…お別れだ…」
これがオレの決意。
あとは…。
「一美」
「へ?」
初めて名前で呼ばれた逢瀬が目を丸くしている。
「オレは思い出にケリをつけた。だからもう心配いらない」
「うんっ!」
「恵美、コイツはオレの大切なひとだ。見守ってやってくれ」
そう言って恵美へ別れを告げた。
一美は目を潤ませている。
そして、オレ達は恵美の墓石を後にし、三島町へ帰って行った。
昔の様に恋人と手を繋ぎながら新たな決意を胸に…。
〜fin〜
これで完結です。
いかがだったでしょうか?
自分的にはもうちょっとひねった方が
良かったと思います。
これからもLARKをよろしくお願いします。