第11話 生死
―オレは死んだのか。
オレの意識は闇の中にあった。
けど、何度もその闇に意識が吸い込まれそうになる。
もう何日ここにいるんだろうか。
逢瀬に会いたい…。
その事で頭が一杯になる。
ここは孤独感を感じる。
(地獄ってのは強ち嘘じゃないんだな…)
そう思っていると突然声がした。
「―俊くん」
暫く聞いていなかった懐かしい声。
振り返るとそこにはポニーテールが良く似合う
女の子が立っていた。
「恵美…」
「久しぶりだね。俊くん」
そう言うと恵美は嬉しそうに微笑む。
「オレ…死んじまったんだな。結局、お前を守ってやれず、
逢瀬にも悲しい思いをさせちまった…」
「逢瀬さん?」
「ああ、オレのクラスメートだ」
「全部知ってるよ」
恵美はそう言うと悪戯っぽく言った。
「逢瀬さんの事好きなんだね…」
なんでもお見通しか。
「確かにオレは逢瀬が好きだ。でもオレはお前を―」
言いかけて恵美が言葉に割ってはいる。
「もう…自分を責めるのはやめて。
あれは私が俊くんの気持ちに気付かなかった
せいなんだから」
「―え?」
「あの時、俊くんが何を考えてたか今なら分かるよ…。
私の誕生日プレゼントの事考えてくれてたんでしょ?」
「ホント、何でもお見通しだな」
「…俊くんはまだ死んじゃってないよ」
「そんな事無いだろ。現にお前と話してる」
「ここはね生死の境目だよ。俊くんはまだこっちに来ちゃダメ」
「そんな…」
次の瞬間、闇の中に一つの光が現れ、
オレはその光に引き込まれていく。
「恵美!!」
「私、嬉しかったよ。俊くんに会えて」
急速に遠ざかる恵美の姿。
「―じゃ、またね」
「!!」
目が覚めた。
突然左腕に激痛が走る。
「痛っ!」
痛みを和らげようと摩ろうとするが、
左腕が……ない。
「え?え?どう言うことだ?」
オレはまだわけの分からない状態でいる。
ふとカレンダーを見ると5月とかいている。
「え?え?え?」
ますます混乱するオレ。
(ここってどこだ?)
頭にたくさんの?マークが浮いている。
(取り合えず寝るか)
そう言って布団を被る。
20分ぐらい経っただろうか…。
部屋のドアがそっと開くのが分かった。
「大ちゃん!この前みたくお見舞いの食べ物食べちゃダメだからね」
「そげな事わかっちょる!もう手を出さん」
逢瀬と大吉だ。
「今日も寝てるわね…。あれから5ヶ月か。早いわね」
「5ヶ月!?そんなに経ってるのか!?」
思わず大きな声を出す。
逢瀬と大吉が相当驚いた表情になった。
が、それも一瞬だ。
「しゅん…すけ。俊介!!」
逢瀬が飛付いて来る。
「痛っ!逢瀬!飛付くな!」
「俊介〜!俊介〜!!」
逢瀬は泣きじゃくっていた。
大吉は未だ腰を抜かしている。
オレはやっと戻ってこれたんだと実感した。