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第10話 現実

今回は逢瀬が主観で物語が進んでいきます。

午後9:00。

私は自分の部屋で泣いていた。


『―過去にケリがつくまでは…逢瀬とは付き合えない』


俊介の言った言葉が頭の中で何度もリフレインする。

(俊介…)

私が泣いている理由。

俊介に恋人がいたことがショックなんじゃない。

俊介の辛い気持ちに気付かなかった自分がショックだった。

「俊介…。ゴメン…。私、俊介の気持ちに気付けなかった…」

虚空に響く私の声。

「ぐすっ…」

今は只々悲しかった。

「かずみー!」

突然一階にいる母の声が聞えた。

慌てて涙を拭く。

「何?お母さん」

「ちょっと、ニュースニュース!」

「ニュースニュースじゃ分からないよ…」

仕方なく一階のリビングへ降りる。

リビングでニュースに目をやる。


「今日午後8時頃、三島市三島町の交差点で事故がありました。

この事故で地元の高校に通う17歳の少年が病院へ搬送されましたが、

意識不明の重体―」


「これって…」

「地元の高校ってアンタの学校じゃないの?ここって繁華街の交差点じゃない」

一瞬、俊介の顔が頭をよぎった。

(まさか…!)

「ちょっと出かけてくる!」

「あ、ちょっと―!」

母が何か言いかけていたが気に止めず家を出た。

(俊介に会いたい!)

その思いでいっぱいだった。

俊介のアパートの前に着く。

息を整え、俊介の部屋のインターホンを押す。

ポーンポーン

・・・・

ピーンポーン

・・・・

反応が無い。

不安でいっぱいだった。

(どこにいるのよ…)

その場に蹲る。


『―ここって繁華街の交差点じゃない』


さっきの会話を思い出した。

繁華街に近い病院はあそこしかない!

(―俊介!)

繁華街へ向かって走り出した。

私の目的地は『三島総合病院』。

ここら辺で一番大きな病院。

(速く!速く行かないと!!)


「ハァハァハァ・・・」

(着いた!)

急いで受付へ走りこむ。

「す、すいません!8時くらいに高校生が運ばれてきませんでしたか?名前は成瀬 俊介です!」

「少々お待ちください…」

(お願い!いないで!)

心の中で事故にあったのは俊介でない事を必死で祈る。

「ご家族の方ですか?」

「いえ…違います」

「そうですか…。申し訳ありません。俊介さんは今、面会謝絶になっています」

現実は残酷だった。

「そう…ですか…」

(…俊介…なんでこんな事になっちゃったの?)


その後、何度も危篤状態に陥ってとても危険な状態だった。

1週間後、面会謝絶が解けた。

けど、俊介の意識はまだ戻っていない。

しかも、左腕をなくしてた…。

これは運命なの?

俊介はとても優しくていいヤツなのに…。

酷過ぎるよ…。


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